2017年3月31日金曜日

浜松へ 4 ~いとへんのまち~

浜松で「いとへんのまち」▼という着物のイベントが開かれるという情報をfacebookで知って、これは何としても行ってみなくては、と思いました。


というのも、まだ私が着物を着始めてすぐの2012年、名古屋で「着物カーニバル」▼というイベントに行った時、静岡県から出展していた若いお嬢さん作家さんの高木法子さんの染めが気に入って、半襟を買わせていただきました。

その時の半襟です。


デニム着物と合わせた時の画像が残っていました。


実はそのイベントは、その若い作家さんにとってもプロとして初めて登場された時だったそうで、そんなご縁があったので、浜松まで出かけたのです。

会場の場所はちょっと迷ってしまいましたが、入り口に浴衣姿のマネキンがいたので、目印になりました。


「いとへんのまち」は、「着たい!」を叶える2日間、というテーマでいろいろなイベントが行われていました。

久しぶりに高木さんにお会いできて、嬉しかったです。
本当に可愛らしいお嬢さんです。


高木さんは仕立て上がった木綿の着物を、モデルさんが着たまま、そのままの状態で絵を描くというパフォーマンスをされていました。


販売されていた作品は、どれも彼女のテーマカラーでもある淡い紫が使われていて、とても素敵でした。


浜松というところは綿織物産地として有名ですが、それは天竜川の良質な水や、風が強くて乾燥に適しているという理由があるそうで、昔から染めものや手拭いがたくさん作られました。

かつては注染業者は50軒ほどあったそうですが、現在は激減してしまいました。
しかし遠州の伝統的な技術や商品を地元の人にも知ってもらいたいということで、昨年から「いとへんのまち」が開かれたそうです。

会場にはカラフルな反物がたくさん並んでいました。


浜松の注染についての解説も行われていました。


また職人さんの実演も行われていました。


私は帯留作りのワークショップに参加してみました。


たくさんある布地の中から、気に入った布を選ぶだけでも大変でしたが、私は浴衣用の生地を選びました。
そして丸く切り抜いて、型にはめて、ぐっと押し出し、裏に金具を付けます。


こちらが、出来上がり。
夏になったら、藍色の帯に合わせてみたいと思います。


会場には、ステキな遠州木綿を着ていらっしゃった方がいたので、お話をして写真を撮らせていただきました。焦げ茶色の細い縞の着物に、竹の染の帯でした。
もちろん遠州木綿の着物ですよ。


私もこういうふうに着てみたいと思いました。

「いとへんのまち」のお土産はこちら。
綿紬の虹色の手拭いです。


半襟にしようと思っていますが、きれいすぎて切るのがもったいないな。

この日はテレビの撮影もあり、有名なお笑いタレントさんが会場に来ていて、とても賑わっていました。

ちょうど3月30日に、フジテレビでその時の様子が放映されました。


タレントの千原せいじさんと大久保佳代子さん、加藤涼さんという人が注染作業にトライしてたシーンです。


そしてテレビ放映のときには、大久保さんが出来上がった浴衣を着ていました。
ずいぶん急いで仕立てたのでしょうね。


帯は高木さんの半巾帯でした。
紫色の小花模様です。


番組の収録はかなり時間がかかっていましたが、放映された時は「静岡の旅」の一部ということで、かなり編集されていました。

それでもお笑い芸人が自分たちで染めた浴衣を着用して、高木さんの帯を締めて登場したときは、私も嬉しくなりましたよ。

(この項、続きます)

2017年3月30日木曜日

「皿鉢絵巻展」

先日、新進の日本画家・中村恭子さんの「皿鉢絵巻展」を見てきました。


彼女は若い日本画家ですが、知り合ったのは、実は2年前、東京外語大学で彼女の個展が開催された時、私は2週間ほど、その受付の仕事をしていたのでした。
「着物 de お仕事」▼

そんなご縁があったおかげで、去年も、今年も中村さんの個展を見ることができたました。

会場は京橋にある画廊でした。


今回のテーマの皿鉢(さわち)料理というのは、高知の郷土料理で、お祝いの時などはそれぞれの家庭で作られる大皿に盛られた料理です。

お皿には、鯛の刺身、鰹のたたき、鯖の押しずし、カニ、貝、酢の物、野菜、寒天、お菓子までさまざまな料理が盛られています。

中村さんはその料理を丁寧に、克明に絵巻に描いていました。
絵巻は全長10メートルほどあるそうです。

中村さんと一緒に、壁に貼られている絵巻の前で写しました。


絵巻には料理の外は、カエルやかさご、スズメや鶴などの動物も登場していて、まさに現代の鳥獣戯画のような楽しさがありました。

一つ一つの場面を楽しそうに説明していただきました。

どれもおいしそうなお料理ばかりで、描いていてもお腹が減ってきてしまったそうです。

また会場には、中村さんたちが10人ほどで高知に行って、実際に皿鉢料理をいただいているシーンのビデオも放映されていて、ワイワイガヤガヤと食べている楽しそうな雰囲気が伝わってきました。

絵巻の表装には、両端に着物の端切れが使われていました。
お母様がお召しになった、黒の江戸小紋のきりばめ模様の着物だそうです。

*****

この日の装い。

かなり春らしく暖かくなったので、ピンク色の大島紬にしてみました。


淡いピンクと、グレーのような薄い紫の太いストライプです。

帯は焦げ茶の絞りですが、長すぎるので自己流に短くしてしまったものです。


2017年3月29日水曜日

浜松へ 3 ~うなぎ~

浜松と言えば鰻が名物ですよね。
私も旅行中に一度は食べてみたいと思っていました。
ただし、浜松市内のうなぎ屋さんはかなり高いので、ちょっと躊躇していました。

浜名湖の東岸にある舞坂というところで、庶民的なうなぎ屋さんを見つけました。
入り口の外では、昔懐かしい七輪で炭を焼いていました。


お店の人に声をかけて聞いてみると、うなぎにつきものの備長炭は、とても火のつきが悪くて、すぐには焼けないので、一度普通の炭の中で焼いて赤くしてから、それを店の中に持ち込んで、うなぎ用にするのだそうです。

こちらがその備長炭です。
ずしりと重たくて、叩くと、キンキンと良い音がしました。


こちらは注文したうな丼です。
肝吸い付きでした。
柔らかくてとてもおいしかったですよ。
蒸し加減がちょうど良くて、口の中でとろけるようでした。


こちらのお店は「つるや」▼さんといい、大正10年創業だそうです。
初めは浅草で修行していた鶴次さんが、両国に開業しました。
ところがその後、関東大震災にあったりして、昭和8年、地元の帰り、営業を再開したそうです。
震災の時には、何をさておき秘伝のタレが入った瓶を抱えて逃げたという逸話があるそうです。


うなぎと言えば浜松のマスコットである「家康くん」のちょんまげはなんとうなぎなのです。
そして袴はピアノの鍵盤でできていました。
地元愛に満ちていますね。


浜松のお土産はこちらの「うなぎおこげせんべい」にしましたが、あまりうなぎの味はしなくて、残念でした。

(この項、続きます)

2017年3月28日火曜日

浜松へ 2 ~音楽の町~

浜松は静岡県の都市ですが、2005年に近隣の市町村を大合併をしたため、面積や人口は県庁所在地の静岡市よりも上回るそうで、現在は約80万人が住む都市です。

ここはかつては浜松城の城下町、そして江戸時代には宿場町として栄えてきました。

現在の浜松はミカンやお茶などの第一次産業、ヤマハや河合楽器などの楽器産業、繊維産業が盛んです。浜松ホトニクスも有名ですね。

中でも楽器関係の企業は多く、町を歩いているだけで「ここは音楽の町だな」と思いました。

最初は新幹線を降りたところで、こちらの立派なピアノが展示してありました。
誰でも自由に弾いて良いようです。


そして駅前広場に出ると、そこでは大学生のオーケストラが演奏をしていました。

駅前に隣接しているアクトシティにはコンサートホールが大小とりまぜてあり、コンサートのポスターがたくさん貼ってありました。
浜松市文化振興財団というところのとても立派な建物です。


ここでは国際ピアノコンクールも開かれているのだとか。
とても大きな施設で中にはホテルもあり、駅から10分ほどはアーケードになっているので雨の時でも濡れずに便利です。

またアクトシティには「楽器博物館」▼もありました。
日本で唯一の公立の楽器博物館だそうです。


こちらはタイで使われている「クローン」という楽器で、世界最大の楽器だとか。
ものすごく大きくて、大砲のような感じでした。どんな音が出るのでしょうね。


ここには18世紀のフランスのチェンバロなど、世界の楽器が1300点も展示されているそうです。
さすが楽器の町ですね。

私が旅行した日は、浜松では、たまたま全国の中学生や高校生の吹奏楽大会が開催中でした。


そのため、私が泊まったホテルもすぐ隣のホテルも高校生で溢れていました。
朝食の無料サービスがあったのですが、こちらのお洒落なカフェも演奏会に出演するために来た高校生で超満員でした。
おかげで食事をゆっくりと取ることはできませんでしたが、「頑張ってね」と声を掛けておきました。


また駅の近くにはヤマハミュージック浜松店もあり、ここには音楽関係のすべてのものが揃っているそうです。

音楽を志す人にとって、浜松は特別な都市なのかもしれませんね。

(この項、続きます)

2017年3月27日月曜日

浜松へ 1 ~「水鳥の関」~

浜松まで一泊旅行に行ってきました。
着物のイベントに参加するためでしたが、もう一つ理由があったのでした。
それは、私の愛読書の舞台となった浜名湖に行くことでした。

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その小説は、平岩弓枝さんの「水鳥の関」です。
簡単に言ってしまうと、江戸時代のラブストーリーです。


浜名湖の東西にある関所や本陣が舞台になっています。
その関所跡や本陣・脇本陣跡をじっくりと見物してきました。
江戸時代にタイムスリップしたようで、とても満足できました。


東海道・新居宿の本陣の娘の美也がヒロインです。
新居宿は東海道五十三次の31番目の宿場町です。
本陣というのは、江戸と国元を行き来する大名などのおエライさんが宿泊する宿屋。今でいうと、皇室御用達の高級ホテル、といった感じでしょうか。

美也はある武家に嫁いで子供を一人産みますが、夫が若くして亡くなってしまいました。
すると婚家からは「おまえは実家に戻れ。ただし子どもは後継ぎだから置いていけ」と言われて追い出されてしまいます。

その後、たまたまその亡き夫の弟と再会したところ、お互いに魅かれあって、美也はまた身ごもってしまいます。

ところがその弟は江戸に行くことになり、分かればなれになり、彼から捨てられたと思い、美也はまた実家ってきて、義理の弟の間にできた子供を育てながら、本陣を切り盛りすることになりました。

弟を追いかけていきたくても、そこには厳しい関所があって、簡単に江戸に行くことはできません。

東海道の関所は通過するのが難しいということで、姫街道と呼ばれる裏道を通って行こうとしましたが、そこにある気賀の関所でも通せんぼをされてしまいます。

美也の人生はその後も波乱があり、他の男から言い寄られてしまいます。

美人のヒロインなので、周囲にはいろいろな男性が登場してきて、それはそれで良いのかもしれませんが、当時の女性は一人で自由に旅行することもできず、また自分の意志を貫くことは難しかったのです。

上下2巻のかなり長い小説なのですが、私はこのような女の一生を描いた時代小説が好きなのです。

湖の水鳥は自由に水の上を渡っていけるのに、ヒロインにはこの関所のために人生を遮断されてしまったのでした。
たった2里ほどの湖の東西ですが、関所の存在が重くのしかかっていたのでした。

私はその両方を自由に行くことができました。
そういう意味では、よい時代に生まれたものだと感謝しています。




2017年3月25日土曜日

「浜松いとへんのまち」

これから浜松に行ってきます。

そこで開かれる「いとへんのまち」▼に行くためです。


もう一つの理由は、私の好きな小説「水鳥の関」の舞台を見てきたいのです。
これは浜名湖岸にある関所が背景にある江戸時代の恋愛ものです。

ということで、ちょいと留守をします。


2017年3月24日金曜日

金の猿@吉祥寺

昨日は京王電鉄主催の「沿線めぐり」に参加してきました。
これは年に1回開かれているイベントだそうです。

今回の行先は、今年5月に開園100周年を迎える井の頭公園とその周辺でした。

詳細は追って報告しますが、まずはランチから。

井の頭公園の入り口にある有名なお店「金の猿」でいただきました。


吉祥寺駅から歩いてきて、階段を下ったところにあり、すぐ下は井の頭公園という絶好のロケーションのところにあります。
周辺には若者向きのお店が多いのですが、こちらはちょっとオシャレな大人向きのお店でしょう。

入り口には「お昼の献立」の写真が出ていました。


献立は毎月変わるようで、今回は「弥生」のメニューでした。

テーブルにはきれいに盛り付けられた先付、前菜、お造りが並べられていました。

先付け
養老寄せ(山芋の蒸し物)、 海老、ブロッコリー、わらび、桜大根

前菜
桜二色寄せ、葉わさびと菊浸し、ばい貝うま煮、寄せもずく、菜の花のサーモン巻き、
米沢豚のチャーシュー

お造り
まぐろ、海老

以上の3点はこちら。


次からは一つずつ出てきました。

煮物
あいなめ煮あんかけ、水菜、里芋、竹の子



焼き物
ブリの若草や木、天豆蜜煮、蕗きゃら煮
桜の花添え


お食事
浅利ご飯、赤だし、香の物


甘味
抹茶ムース、フランボワーズ
コーヒー

春らしい献立でした。

今回は40人という団体で入ったので、お店の人も用意するのも大変だったでしょうね。

私はあいなめが、おいしいと思いました。

実は、先日、東村山の酒蔵見学▼にご一緒したSさんは、こちらの料理人でした。
それでお食事が終わったあと、厨房にいたSさんにちょっとご挨拶をしてきました。
びっくりされていましたよ。

ご馳走様でした。

2017年3月23日木曜日

まんべんなく着たいけれど

着物はあまり偏らずに、まんべんなく着たいと思ってはいるのですが、中には、なかなか手を通さない着物もあります。

(ただし、私の場合は、しつけがついたままにしてある、という着物はありません。)

先日、着てみたこちらの緑の紬も、久しぶりでした。
必要以上にデブって見えるので、あまり着たくなかったのです。


記録を見ると、去年は一度も着ていませんでした。

一昨年の2015年は二回着ていましたね。
4月に着ていた時。
ちょっと色が暗く写っています。


こちらは2015年10月でした。
この色が実物に近いかしら。


2014年は「新緑」がテーマのワインの会▼に着ていきました。


インドのサリーで作ったショールと合わせていました。


洋服では緑色はあまり着ませんが、着物だとわりと好きな色です。

この緑の着物はいつだったか忘れましたが、神楽坂のフリマで手に入れたものです。
ほぼ新品で状態が良かったので、フリマの割には値段が高かった記憶があります。
ただし裄が短くて普通の人には短すぎるというので、フリマに出されたのかもしれません。

今回の組み合わせですが、実は帯も久しぶりに締めたものです。
木綿の更紗模様です。裏地が紫色なのが気に入っています。
かなり前、有楽町フォーラムで開かれた大江戸骨董市で手に入れたもの。
2500円か3000円だったと思います。

元を取るためには、もう少し、何回か着てあげようと思います。