私の父方の祖母は、当時としては普通だったかもしれませんが、6、7人の子供を生んだ人でした。
ただしそのうち、大人まで育ったのは、長男、三男(私の父)、妹、弟の4人だけでした。
それ以外の子供は、ごく小さいころに亡くなってしまったようです。
3歳くらいまで生き延びた「みちこ」という女の子の大きな肖像画が家に飾ってあり、うちに訪れる人は、その絵が私にそっくりだと言っていました。
つまり私は、子供のころに亡くなった伯母さんに似ていたのでしょうね。
そして、長男と三男の間にいた次男ですが、この人は「トシヒコ」さんという人で、彼は戦争で南方で戦死した人でした。
とても利発で優しい人だったそうで、それでその伯父さんの名前にちなんで、私は「としちゃん」と名づけられたのだと、何回も聞かされてきました。
トシヒコ伯父さんが亡くなったのは、昭和19年のことだったと思います。
たぶん、23歳くらいで亡くなったのでしょう。
遺影の姿はとてもりりしい軍服姿でした。
その伯父さんの名誉の戦死から戦後4年経って、三男の家族に生まれた女の子が私です。
両親は、子供の名前を付けるときに、祖父と祖母の意見に従って、トシヒコさんの名前の一部を付けるように言われたのでしょう。
父はいつも「トシヒコ兄さんはとても優秀だった」と話していました。
そんな伯父さんの名前の一部をもらった私は、きっと祖父母に可愛がられて育ったのだと思います。
でも孫の私を「としちゃん」と呼ぶたびに、祖父母は戦争で若くして亡くなったトシヒコさんのことを思い出していたのかもしれませんね。
祖父は私が幼稚園のころに60歳くらいで亡くなりましたが、祖母はその後30年も未亡人として元気に生き延びました。
歌舞伎や謡曲が大好きで、おしゃれで着物にも凝っていた人でした。
町内の老人会の中心メンバーとして、いつも楽しく暮らしていた姿が思い浮かびます。
そして祖母は、「たくさん子供がいたが、トシヒコが一番の孝行息子だった」といつも話していました。
私は子供心に、「どうしておばあちゃんは働かないのに、お金があるの?」と不思議に思っていましたが、少し大きくなるとその理由が分かりました。
つまり祖母は戦死した二男の遺族年金で、老後のゆとりある暮らしができたのでした。
どうして急にそんなことを思い出したのか、自分でも分かりませんが、やはり昨今の憲法解釈の影響でしょうか。
これから日本で育つ若者たちがどこかで戦死して、そしてその家族や親戚が苦しむようなことにならないでほしいと、つくづく思うのです。
6 件のコメント:
うちの息子は今大学3年生・・・
なにかが起こった時、真っ先に徴兵されそうな年代なので、今回の決議には心を痛めています。
美しい着付け講師のあの方もきっと・・・
よーでるさん、若い男の子がいるおうちでは、今回の決議は本当に気になることでしょうね。
私の叔父は学徒動員されました。
あの方も気をもめていらっしゃるでしょうが、そういうことが現実にならないよう、見守るしかないのでしょうか。
まぁ、としちゃんの名前にはそんな由来があったんですか。
私の場合、両親で「洋子」と決めて、父が届を出しに行ったそうです。でも途中で父の気が変わって、父の名前の一文字と母の名前の一文字を取った名前にしちゃったとか。
それが今の私の名前です(笑)
孫たちが大きくなったとき、どんな世の中になっているのか気がかりですね。
マサさん、ほんとは洋子さんになる予定だったのですか。びっくりだわ。でもご両親のお名前が半分ずつ入っているっていいですよね。
私の名前は、伯父とは漢字が違っていますが、昔から「トシヒコさん」の話はよく聞かされていました。
妹はまるで簡単な名前(季節の名前)なので、私と比較されてぶーぶー言っていましたね。
ほんと、孫たちの将来が気になります。
名前にはいろいろなファミリーの思いが
こもっているのですね。
私は貴久子説もあったらしいです。
祖父が養子だったので祖父の姓倉田だと
合うのにねなんて言ってました。
結局両親が名前を付けたとのことでした。
妹の道子もなんか好きな名前です。
今回の憲法解釈には心痛めているというか
どうしてと思う人が多いと思います。
女性議員なんて何か発言していないのかしら?
時代の逆走で、かつて戦争に向かった時代を
知っている人はすごく危惧していますよね。
アメリカの要望? 何か取引でもまたしているのかしら?
何がこの日本を牽引しているのかと思います。
まぁ、カンカンは貴久子さんだった可能性もあるのですか。そちらもいいお名前ね。
実はうちの祖父も元々は倉田さんで、養子に行ってOさん、となったそうですよ。
子供のころは、どうして二つ名前があるのか、分かりませんでしたが。
そういえば、女性国会議員の発言がありませんね。
結局、国は軍需産業を儲けさせたいというのが本音なのでしょう。介護とか保育とかの産業よりも、よほど軍需産業は儲かるのでしょうが、どのくらい儲かるのか分かりませんね。やはり大国になりたいんでしょうかね。
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