1冊はベッドに置いてあり、寝る前に読むための本です。
お気に入りの本を、腹這いになって読むのが、私の一番好きなスタイルです。
もう1冊は電車で移動するときに、バッグの中に入れて読むための本。
これは人様から見られても恥ずかしくないようなタイトル(笑)で、軽くて薄い本が多いですね。
ほとんど文庫本になります。
あとは自分の机の前で、パラパラとめくって眺めるような大型の本など。
私にとって面白い本、というのは、だいたいが女性作家の手によるもの。
男性の書いた本は、どうも女性の描き方がワンパターンのような気がして、せっかくの面白い話の興がそがれることが多いようです。
最近、読んだ中では、宮尾登美子さんの「伽羅の香」が面白かったですね。
お話の先を知りたくて、どんどんとページを繰っていき、1日半くらいで読み終えてしまいました。
山林王の娘として生まれ、何不自由なく育ったヒロインが、これでもか、これでもかというような不幸に会いながらも、香道の道を極めて行く、というお話。
実在のモデルさんがいらっしゃったようです。
愛する息子に死なれ、娘にも死なれ、夫にも死なれ、尊敬していたおじにはそれまで隠していた不倫の結果に生まれた娘がいて、その娘を養女のようにして育てていながらも、結局は裏切られ、香道を確立するために一緒に行動していた元貴族の男性からも裏切られ・・・。
とまぁ、波乱万丈の女性の一生もの。
こういう本は、ページをどんどんと繰るのが楽しみになります。
反対につまらない本というのは、何回も何回も初めから読み直しても、全然、主人公の姿が見えなくて、結局、途中で投げ出してしまうというものです。
渡辺淳一の「遠き落日」は、いつまでたっても渡辺さんの感想ばかりで、主人公の野口英世がなかなか登場しなくてがっかりしました。もう少し読んだら佳境に入ったのかもしれませんが。
山本一力さんの「くじら組」は、四国のクジラ取りの人の物語ですが、途中でジョン万次郎が登場したり、黒船が登場したりして、そちらのお話は面白いのに、主人公のほうはいっこうに話が見えなくて、これも途中でやめてしまいました。
これら男性作家のものは、それほど期待していなかったし、図書館で借りた本だったので、返却すればそれでおしまいでよかったのです。
ところがお金を出して買ってみても、まるで期待外れだったのが、瀬戸内寂聴さんの「爛」でした。
前にも書いたかもしれませんが、何回となく読み返しても、いつも最初の10ページくらいで投げ出してしまう内容でした。
寂聴さんにしては、ずいぶんとレベルが下がった、と思わずにはいられない本です。
今、ベッドに置いてあるのは辻邦生さんの「西行花伝」。
文庫本にしてはとても分厚くて、重い本です。
この本に辿り着いた経緯はこちら▼。
西行を巡るいろいろな人たちの話が語られていて、読み進むうちに西行の人生が見えてくる、という内容です。
毎晩、少しずつ読んでいますが、辻さんってほんとに頭が良い人なんだろうなというのが、率直な感想です。
歴史認識や当時の人々の暮らしの描き方もきちんとしていて、もし私の周りに、こういうことを話してくれる人がいてくれたら、どんなに幸せだろうと、思わずにはいられないほどです。
ただし、話し言葉で書かれているのに、その口調があまりに理路整然とし過ぎていて、「普通の人はこんな話し方はしないよね」とちょっといやみを言いたくなりますが。
西行さんや、私の好きな女院のことを知るには、最高の本だと思います。
2 件のコメント:
としちゃんは読書家ね。
私は、夜寝る前にベッドの中で読むのが長い間の習慣なんだけど、最近はすぐ眠くなってしまってページが全然進みません。
瀬戸内寂聴さんの筆力が落ちたのは、お歳のせいもあるのかしら。瀬戸内晴美時代の著書には、好きな作品がいくつもあります。「惑う」とか「こころ」とか。
今日、近くの図書館で、桜木紫乃の「星々たち」を借りてきました。
桜木ワールドにはまっています。
マサさん、私も最近は寝る前の読書はすぐに眠くなって数ページで終わってしまうこともありますよ。
桜木ワールドもいいでしょうね。
私も一人の作者が気に入ると、全部読んでみたくなる方です。
瀬戸内さんももうお年だから、長編は無理かもしれませんが、いろいろと楽しませてもらったから、あとは静かに過ごしていただいてもいいかもね。
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