2010年11月1日月曜日

呉服屋さんとお勉強会

今年の3月ごろから急に着物に目覚めてしまった私。

とはいえ私が着る着物といえば、さとさんや女医さんからの頂いたもの、リサイクルショップや神社での骨董市で手に入れた着物ばかりで、どれも自分で誂えたものではないので、サイズも微妙に違い、着やすい着物もあるし、手こずる着物があるのです。

それは前に着ていた方の身体のサイズが違うからであって、私もとりあえず着物の丈や、裄の丈だけはちゃんと計って着るようにしていました。でもそれ以外のおくみの幅とか、身頃幅のことなどはあまりよく分からずに、半年以上経ってしまいました。

一度、ちゃんと着物のことを学びたいと思っていたら、ネットでちょうどよい勉強会があるのを見つけました。

それは日本橋の呉服屋さんの旦那さんが講師になり、ボランティアで私のような着物のことをあまり知らないけれど学んでみたい、という人のために開いている勉強会でした。→ 詳細はこちら

そこで先日の日曜日に、いそいそと人形町まで出かけてみました。

中央区人形町公民館という所の和室で行いました。


みんな畳に座って、呉服屋さんがいろいろな色見本を見せているところ。


こちらは呉服屋さんが着物の採寸の見本を示しているところ。計るときは、昔ながらの尺差しで計ります。
実は私の母は和裁の仕立てをしていたので、うちにもこの物差しがあるんですよ。
でも何尺何寸と言われてもなかなかピンとこないので、そのときはセンチも使える両用のメジャーで計りました。


これは銀座のママさんが着ていた着物だそうで、かなりゆったりとした着物でした。というのもママさんはソファに座って接待をするので、腰回りがゆったりしているほうがいいんですって。

採寸だけでもいろいろと勉強になりました。
というのも私は着物は上から下まで同じ幅で作られていると思っていたのですけれど、本当は裾の方が広がっているんですって。

また粋筋の人は衣紋をすごく抜いて着ますけれど、それは着物の襟の所のくりこし分が違うからだそうで、初めて知りました。

次はいろいろな家紋を学びました。家紋というのは、実に何千種類もあるみたいですよ。「紋典」という分厚い辞典を見ながらお勉強しました。

・・・ところで、実家の紋は知っているけれど、今の紋は何なんでしょう?

その次には文様のことを教えてもらいました。
私も御所模様とか、流水とか扇面とか麻の葉とか一般的な文様は知ってはいましたが、これほどたくさんの文様があるとは知りませんでした。日本人のセンスってすごく良かったんですね。

みんなで文様を調べているところです。


その後はクイズ形式でいろいろな着物の模様を教えてもらいました。

どの模様ならお祝い事に着てもよいか、どの模様なら慶弔どちらでもよいか、というのは参考になりましたね。そのうちに色無地の着物を作るときにでも、思い出してみましょう。

一番好きだったのは風景模様あてクイズというもの。

これは分かりますよね。

◆清水寺
◆八坂の塔
◆五条大橋
◆音羽の滝

そう、この絵柄がそろったらそれは「京名所」という模様です。
その着物を着て、京都を歩いてみたいですよね。

こちらは分かるかしら? さとさんなら即答かも。

◆石山の秋月
◆粟津の晴嵐
◆三井の晩鐘
◆瀬田の夕照
◆唐崎の夜雨
◆比良の暮雪
◆堅田の落雁
◆矢橋の帰帆

こちらは「近江八景」という模様だそうです。
私も堅田や瀬田には出かけたので、懐かしい感じがしました。
その着物の写真を見せていただきましたけれど、全身に八景が描かれていて、それは素敵でしたよ。

他にも「多摩川」とか「武蔵野」とかいう絵柄もあるそうで、どんなものが描かれているかわくわくしますね。

昔の人は風景を着物にしていたんですね。今ならさしずめスカイ・ツリーかしら?

こちらは帯の織物の型だそうです。前に西陣に行ったときに、このような型を使って織物を織っているところを見たことがありました。


日本人の着物の歴史をほんの少しですけれど学ばせていただき、本当に楽しい時間でした。

おまけに普通では触るのも躊躇するようないろいろな布を触らせていただき、それでいて高価な着物の押し売りはいっさいなし、という良心的な会でしたので、安心できました。

そして着物のことを知るというのは、日本の文学や絵画や歌舞伎、能などを知っていると、より興味が湧いてくるのです。
私もこれまで趣味で伊勢物語や源氏・平家物語、琳派の絵画などに接してきましたけれど、それが役立ってとても嬉しく思いましたね。

なんだかいっぺんに教養が深まったようでした。

また機会があればこのような勉強会に参加して、着物のことを知りたいと思ったのでした。

それが今はもうぼけてしまった母や、死ぬまで着物しか着なかった亡き祖母たちに、「ねぇ、私も着物に親しむようになったんですよ」という気持ちを伝えることになれれば、という思いなのです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

そうそう蛇足ですけれど、もちろん着物を着て行きましたよ。
天気も悪い予報だったし、呉服屋さんとお会いするで、何がよいのか考えてしまいましたが、普段着っぽく黒のクロス柄に朱色の帯(骨董市に行ったときと同じ組み合わせ)にしました。

他の方もそれぞれお好きな和服で参加していました。ご夫婦ともに和服のカップルも2組いらっしゃって、さすがですね。我が家では考えられないことですけれど~。

14 件のコメント:

砧や 飯塚喜隆 Iiduka Yoshitaka さんのコメント...

この度は、有難うございました。
ご案内いただいたので、拝見しました。拙い企画で至らないところもあって、また、次回、改善しますね。
それから、近江八景の「崎の夜雨」は私の入力変換ミスプリントで『唐崎の夜雨』です。唐が上の項目の頭についてしまっていました。
修正しておいてくださいませ。

砧や

おおしまとしこ さんのコメント...

まぁ、砧やさんのご主人さま、コメントいただきありがとうございました。このような企画をされる呉服屋さんは貴重な存在だと思います。ど素人の疑問にもお答えいただき、ありがたく思っております。
そうそう、近江八景は唐崎でしたね。私も自分のテキストに追加しておきながら、ここでミスってしまいました。修正いたしました。いつかは実際の近江八景を探索したいと思っております。

マサ さんのコメント...

そういえば、我が家にもにもこの長いものさしがありました。実家には、まだあるかしら。
母は浴衣ぐらいは自分で縫っていたけど、祖母は針を持たない人でした。私は、祖母に似たのかなぁ~(笑)

着物も実に奥が深いんですね。としちゃんは知識欲旺盛だから、着物の知識をドンドン吸収して博学になっていくことでしょう。

おおしまとしこ さんのコメント...

マサさんのおばあさまの時代で縫いものをされないというのは、結構先端的な女性だったのでしょうね。うちの母など、しつけ糸を何回も利用するほど、つつましくしていましたよ。私はただ縫うだけは好きなの。形にならない・・・・。
着物って着付けのことばかり重視されるみたいですけれど、文様のことなども教えていただくとすごく楽しいですよ。もっと若いころに着物に親しんでおけばよかったと後悔しているの。

史子 さんのコメント...

あぁなんて素敵な光景。。。。。
指先を撮りたい。。。。。。。。。。
とポイントがずれましたがw
現住所の地名になっている神社で
骨董市、掘り出し物市をやっているようです。
今度どんな市か見て来ますね。
地名に神社をつけて検索すると出て来ますが
としちゃんさんもよく御存じの
あの神社の次のお宮なんですって。
これもご縁なんだなーと感慨深く思いました。
住所そのものなので、あいまいでごめんなさいw

カンカン さんのコメント...

このごろクラス会や同窓会でも着物を着てくる人がいてすてきだなと思います。
私も最後は日本人になろう(笑)
もう少ししたら着物を着てみたいと思っています。母の着物を処分するのは待ってもらって・・危ないところだった。

としちゃんのサイズはいいものが手に入りそうでいいですね。

三味線といい源氏といい和の趣味で統一・・
私も外に向けては日本人を強調したいと思います。
私は志村ふくみさんの織が好きです。
紬系が好きです。帯は正倉院の柄がいいな。
茶の湯と同じで着物も日本の文化の総合ですね。

おおしまとしこ さんのコメント...

史子さんのところの骨董市、結構有名みたいですよ。毎月5の日に開催するんじゃないかしら? いいもの、見つけてきてくださいな。
そうそう、呉服屋さんの指先はすごくすんなりしていて、きれいな手でしたよ。
私は反物をくるくると巻いたりほどいたりする動作が好きなの。昔、我が家のおばあちゃんのところに反物を背負った呉服屋さんが来ていて、そういう動作をうっとりと眺めたものでした。

おおしまとしこ さんのコメント...

カンカン、そうか、日本の総合文化というのはいい言葉だわ。いろんなことがつながっているのよね。お茶の作法にしても、着物を着ていれば自然にそうなることもあるのでしょうね。
私はとにかく裄が短いので、昔サイズの着物がちょうどいいの。洋服だと普通の人の7分袖を着ると、ちょうどいい袖の長さになるくらいなんです。

真蘭 さんのコメント...

我が家にも「鯨尺」ありましたよ。
探せばまだあるかも。
としちゃんの貪欲な知識欲に拍手!
何でも納得いくまで調べて実践する。
偉いわ~。

日本人なのに着物の着かたひとつ
満足にできないで、ちょっと恥ずかしいわ。

としちゃんに刺激されて、「よし、私も着るか」と
思うのですが、いざ出かけるときになると、
弱い心が!です。

トントン さんのコメント...

昨日ある画家さんのオープニングパーティーで、友人が着物を着てきたのだけれど、としちゃんと同じお店の名前がいくつも出てきて。粋に着こなしていました。
ああいう席で着物というのもよかったです。

文様も知っていくとなかなか面白いのですよね。昔小袖の柄をテーマにグループ展をした事があります。
無駄のないデザインが多いですよね。素晴らしいと思います。

おおしまとしこ さんのコメント...

真蘭さん、そうそう、鯨尺といいましたね。どうしてクジラなのかしら?
真蘭さんがおっしゃるような知識欲というほどご立派なものではないのですけれど、知っていると楽しさが増す、ということもありますよね。
私は普段着しか着ないので、気楽に着てしまいますよ。

おおしまとしこ さんのコメント...

トントンさん、絵のパーティーで着物はすてきね。その画家さんにふさわしい着物を考えるだけでうきうきしてくるでしょうね。
そうそう、文様には無駄がない、これは言えてますね。私もあっさりとした麻の葉模様とか鮫小紋とかが好きですね。日本人のデザイン力はすごいと思ったわ。

さと さんのコメント...

としちゃんの探究心は留まるところを知らないくらい前進あるのみですね。
ホントに凄いなぁと感心しますよ。
若くから着物に興味があれば今頃違う人生だったかも(笑)ね。

近江八景は2番目と8番目がわからない。
どこだろう?
私も興味あるのでぜひまたいらしてね♪

おおしまとしこ さんのコメント...

さとさん、コメントありがとうございます。
そうね、私は若い時には着物とか日本のものにはまるで興味がなくて、むしろ嫌がっていましたね。今にして思えば、明治生まれのおばあちゃんにもう少し聞いておけばよかったと、思うことが山ほどありました。
近江八景、そうですか、さとさんでもご存知ない所がありますか? 今度、探検してみましょう。