「笑う門には福来たる」というタイトルで、吉本興業を創業した女性のお話だということくらいしか事前知識はありませんでした。
歌舞伎ではないのであまり乗り気ではありませんでしたが、見た後は、吉本に対して、ちょっと感想が変わりましたね。
私はお笑いの世界、とくに関西のお笑いのことにはまるで疎くて、「吉本」という会社があることは知ってはいましたが、女性の力で大きくなったというのは、お芝居を見て初めて分かりました。
主人公のせいさんは、最初は、船場の箸の問屋のおかみさんでしたが、旦那さんが演芸好きで、それで結局、二人で店をやめて小さな興行を始めます。
それが明治45年のこと。
なんと吉本の発端は、今から100年も前のことだったのですね。
二人の夢は「通天閣のようになろう」ということ。
その後、苦労して大きな会社になり、多くの芸人を抱えるようになりましたが、いろいろな人生の試練がありました。
旦那さんの浮気や死、大切な人の自殺、娘や息子の死など・・・・。
そして戦争で、それまでたくさんあった劇場がすべて失われてしまうのですが、彼女のパワーはひるむことなく、また挑戦していきました。
本当にせいさんは、波乱万丈の人生だったのですね。
吉本にはそういう話があったというのは知りませんでした。
エンタツ・アチャコ、笠置シズ子、ミヤコ蝶々など、古い芸人さんの逸話もあり、また直美さんの力演もあり、結構楽しめました。
夫役がなんと、あおい輝彦。
えー、あのジャニーズのあおい輝彦がこんなオヤジになったとは!
でも歌うシーンでは、昔よりもうまくなったように聞こえました。
ちょうど千秋楽でしたので、最後に直美さんの舞台挨拶がありました。
このお芝居は最初は森光子さんが演じられていたということも話していましたが、このお芝居は直美さんの個性で成り立っているようにも思いました。
そしてまた、舞台で女優さんたちが着ていた大正時代、昭和初期の着物姿がたくさん見られたのも、参考になりました。
着姿がすっきりしていて、立ち姿やお辞儀の仕方も美しく、またどんなに動いても崩れないという着付けでした。
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この日の装い。
昭和レトロっぽく銘仙の着物にしました。
ダリアの模様のようですが、なんとなくクリスマスっぽいでしょう。
帯は明治生まれの祖母が着用していたもの。
生きていたら、120歳くらいかしら?
吉本せいさんより、少し若い世代ですね。
銘仙は骨董市で買ったものですが、チビの私でも丈が短いので、おはしょりがほんの少ししか出ません。
帯は、いつごろのものか分かりませんが、昭和中ごろのものかしら。
かなりぼろぼろで、見えないところに、虫食いも見つけてしまいました。
帯の脇につまみ細工の飾りをつけているのですが、これは繕った針目を隠すための苦肉の策なのです。
割れたお皿の絵が面白いでしょ。
かなり古くて、あちこち擦れていて、祖母か誰かが繕った跡があります。
昔の帯なのに、どういうわけかかなり長くて、いったいどういう結び方をしていたのだろうと、不思議に思う帯でした。
ふにゃふにゃした帯なので締めにくい上、柄をきちんと出そうとしたあまり、お太鼓の形が決まっていませんね。
お見苦しい顔のアップで失礼しました。
でも昔の着物や帯を身に着けるのは、楽しいものです。
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