2023年2月21日火曜日

【次太夫堀・六郷用水 6】狛江探検 その3 駄倉橋

狛江市で開催された「えにし展」の後に、田中橋を見つけたことは2月20日のブログに書きました。

その時は取り敢えず満足したのですが、着物で歩いたので、ちょっと納得がいかない部分がありました。

それで翌日、もう一度、洋服に自転車で狛江まで行くことにしました。執念深いというか、ヒマ人というか。

自転車で多摩川沿いの道を走ります。お天気も良く、気分は爽快でした。

15分ほど走ると、調布市と狛江市との境になります。多摩川住宅が並んでいます。

このあたりは、以前にも歩きましたが、根川と呼ばれている水路のあるところです。


根川さくら通りは、調布市の染地あたりをぐるっと回っています。


こういう水路はワクワクしますね。


近くには、ちょっとした広場がありました。
そこは明治時代に、「井上公園」と呼ばれていて、富士山を望む景勝地だったそうです。
大正2年には公園の中に、「玉翠園」という料亭が作られました。
狛江市社会教育課の情報によると、そこでは多摩川の鮎などを提供していたようです。人々は屋形船で楽しんだことでしょう。ここでは鮎解禁(6月1日)の前夜祭があり、花火も打ち上げられて、とても賑わったそうです。多くの人が集う、現在の公民館のような場所でもあったということです。

ただし昭和18年、戦況の悪化から料亭の営業が続けられなくなり、廃業して、東京都に売却したそうです。

現在は料亭の石垣だけが残っています。


少し自転車で行くと、「水神前」の信号がありました。

いつもなら、素通りしてしまう場所ですが、なんだか気になって、ここで自転車を降りて歩いてみました。

すると「水神社」という石碑と、その奥には鳥居がありました。

水神社は、水にまつわる神が祀られています。

中にはこんな案内が。


文字がよく見えませんが、水の神様の他に、「順正院宗可日久?神」と書いう文字と、その下にかっこをして「小泉次大夫」と刻まれていました。


なんとここは、あの小泉次大夫さんも水神といっしょに祀られている神社だったのです。

え〜知らなかった!

しばしお宮の周りを観察しました。

すると、多摩川の近くに案内があり、この場所から取水して、六郷用水を作ったと書いてありました。

のどかな風景ですね。

そうか、次大夫さんはここから水を取り始めたのですね。だから用水工事に尽力した次太夫さんがここに祀られていたのでした。

今まで気づかずにごめんなさい、でした。

そして、前日に見つけた田中橋の方に向かうと、その手前にまた案内がありました。

狛江市の案内ですが、すごく貴重な情報が詰まっていました。

やはり田中橋は、六郷用水に架けられていた橋の一つであると書いてありました。


そして私が前日に見たお宮は、「高千穂稲荷」という名前だと書かれていました。

こちらですね。


手前にあるこちらの祠はとても小さくて、スーツケースくらいの大きさでした。


田中橋は昭和40年頃に橋としての役目を終えたようですが、親柱はちゃんとお宮に祀られていたわけですね。


また先の案内によると、田中橋の他に、「駄倉橋」という橋の跡も残っているというのです。

この付近の地図もありましたが、六郷用水以外にも猪方用水、清水川など、水路がたくさんあったようです。
狛江駅前の弁財天池も用水に利用されていたようです。

そして次は「駄倉橋」探しに取りかかることにしました。

グーグルマップで駄倉橋の位置を確認しましたが、狛江駅すぐ近くのようでした。

駅前を自転車でウロウロするわけに行かないので、自転車は狛江市役所の駐輪場に置いて、駅まで歩きました。ほんの1,2分の距離です。

信じられない気持ちで狛江駅前に着くと、こんな案内板がありました。


かつての駄倉橋(だぐらはし)の姿です。めがね橋だったのですね。明治か大正頃の風景でしょうか?

そしてその横の石には、「た久」という文字が見えました!

これこそ「駄倉橋」の親柱です。「ら」と「はし」の文字は見えませんが、これですね。なでなでしたい気持ちになりました。


こんなふうに、親柱は案内板と並んでいました。
でもここを歩く人は、誰も気づかないと思います。


駅前にある不動産屋さんのお店の前でした。

これでこの日のミッションは終わったので、あとは狛江の住宅街を自転車で通り抜け、満たされた気持ちで帰路につきました。

ただし、これらの橋が架かっていた用水は、昭和40年頃、姿を消しました。

今、残っているのは、道の名前だけです。

自転車で通った道は、狛江市内の案内板では「六郷さくら通り」でした。


この道は調布市内になると、「桜堤通り」となっていました。



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「一日一句」

桜みち 六郷の橋 見つけたり


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