2023年2月13日月曜日

ダブルToshikoが行く 世田谷南烏山 その1

先日、もう一人のToshikoさんにお渡しするものがあり、それなら一緒に世田谷の水路散歩でもしましょうか、ということになりました。

現地に出かける前には、世田谷区民で暗渠マニアのCさんから、情報をあれこれ仕入れておきました。南烏山地域には、とにかく謎の水路がたくさんあるという話でした。

ということで、ワクワクしながら、まずは京王線の芦花公園駅で待ち合わせ。

Toshikoさんは、私とほぼ同年齢だと思いますが、この地域には小さい頃からお住まいなので、お散歩の案内をお願いしました。

お土産に、世田谷区内のハザードマップをいただきました。私の好みをよくご存じです。

「内水氾濫・中小河川洪水版」というものです。

この地図を見ると、私が歩いた川や用水、緑道などはほとんど危ない地域になっていました。

たしかに川は危険な面もありますね。この地図は川歩きに役に立ちそうです。

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まずは「ウテナの坂」と言われる、芦花公園駅から南へ下るゆるい坂道を降りました。

若い人はご存知ないかもしれませんが、私たち世代は「ウテナ」といえば「ウテナ化粧品」を思い出します。かつて「ウテナ化粧品」は有名な化粧品メーカーでした。現在でもヘアケア商品などを販売している会社です。

「ウテナの坂」という名前は、その化粧品会社とその社長の家が、南烏山にあったことから由来しているのでした。

そして広大な敷地を誇った社長宅は、現在はスポーツジムや世田谷文学館になったりしています。

道路の向かい側にあったウテナの本社や工場は、現在は成城石井という高級スーパーが入るマンションに変身していました。

ただし、スーパーの裏には、「ウテナ本社」というビルの姿を垣間見ることができました。写真を撮ろうかと思いましたが、ちょっと怪しまれそうなのでやめました。

またマンションの屋上には「UTENA」という大きな看板(?)が残されていたました。

この化粧品会社は1923年(大正12年)に「主婦の友」で美白液を通信販売を始めたのが最初だそうです。当時は本郷に本社がありましたが、その後1927年(昭和2年)に、世田谷に移ってきました。また日本で初めて男性用化粧品を手掛けた会社だそうです。

初代社長の家は別のところにあったようですが、二代目社長からはこの一角にある大きなお屋敷に住むことになりました。

Toshikoさんはそのことをよくご存知でした。

芦花公園というと、一般的には文豪・徳冨蘆花の住まいがあったところとして名前が知られていますが、地元の方には「ウテナの会社」のほうが身近に思われたのかもしれませんね。

その社長宅の名残りはとても豪邸で、このような立派な門構えをしていました。

お屋敷の中を覗いてみました。

朱塗りの太鼓橋のある池には、大きな鯉がたくさん泳いでいました。この橋の名前を知りたいものですね。


栄養たっぷりの大きな鯉たち。


どっしりとしたお蔵の中には、何が入っているのでしょう。


お蔵の周囲の風景です。水路を利用した美しいお庭には、様々な植物が配置されていました。植木代もかかりそうですね。


実はこの大邸宅は、現在は介護付きの高級老人ホームになっているのでした。

向こう側に見える建物が、老人ホームかもしれません。


名前は「芦花翠風邸」。


かつてはウテナの社長宅だった邸宅の変身後の姿です。


老人ホームは、ベネッセの経営でした。

パンフレットが置いてあったので、見てみました。現在、空室があるそうです。

まるで旅行会社の宿泊地案内のようですね。


ウテナの社長が愛用した数々の豪華な調度品や、お茶室などがそのまま利用できるようです。
お庭も美しい!

どこかの高級料亭のような雰囲気の老人ホームでした。

ちなみにパンフレットによると、お値段は、こんなふうでした。

部屋の面積が約50平方メートルで、一人住まいの場合、入居金なしの場合、利用料は1ヶ月約170万円(+介護利用料数万円)。毎月これだけ支払うとなると、年間に2000万円以上かかることになります。

部屋の面積が同じく約50平方メートルで、一人住まいの場合、入居金を約6400万円支払うと、月々の使用料は約46万円(+介護利用料数万円)となっていました。

この他に、年を取ればどこか身体の具合が悪くなるので医療費もかかるだろうし、いやはや私には無縁の世界でした。

私が利用できるのは、お隣りにある世田谷文学館ですね。こちらもウテナ社長の邸宅の一部だったそうです。

こちらには数回お邪魔した記憶がありますが、まさかお隣に老人ホームがあるとは気づきませんでした。

Toshikoさんと二人で、世田谷文学館の窓からお隣の老人ホームを眺めて、ため息をついたのでした。

この項、続きます。

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「一日一句」

世田谷の 今昔たどる 浅し春

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