2010年11月22日月曜日

呉服屋さんのお勉強会@人形町

先日に引き続き、また日本橋の呉服屋さんのお勉強会に行ってきました。

今回は出席者が3名と少なかったので、勉強会というよりも、個人教授というか、普段は恐れ多くて触れないような貴重な布を自由に手に取り、触らせてもらいうという時間を過ごしました。

場所は人形町の駅から5分ほど歩いたところの中央区堀留町区民館というところの和室でした。


まずは前回に引き続き、着物のサイズの測り方から。
私のちょっとした疑問にも呉服屋さんはとても丁寧に答えてくれました。

畳の部屋に、所狭しといろいろな布を広げています。


こちらは男物の布地の説明をしているところです。


男の人の着物には身八口がない、というような身振りですね。
後ろの緋毛氈の上には、帯用の布が置いてあります。

そしていろいろな布を一枚一枚、説明してくれます。

布を見極めるには、こんなふうにしてマイクロスコープで見るのです。そうすると、縦糸、横糸の織り方や撚り方が分かるのです。


布地を拡大してみるとこんなふうに織り方が良く見えます。
これはちりめんですけれど、ちりめんにも「ひとこし」というのと「ふたこし」というのがあり、その違いも丁寧に教えてもらいました。


いろんな紋のことも教えてもらいました。


お公家さんの紋、武士の紋、お寺さんの紋などを「紋帖」という分厚い本から探し出しました。お寺にも紋があるというのは知りませんでしたね。
すごく凝った紋もあるし、シンプルな紋もあるし、見ていて飽きないですね。

こちらは楽しいお遊びのまねごと。光琳の絵柄のうちから、好きな絵を描いて誂えるという究極の贅沢を味わってみました。


この本から選びます。

梅や撫子、かきつばたなどのお花や、宝づくしとか松などのおめでたい柄、波や雲などの自然風景を直径数センチの紙に描きます。その丸い紙を着物の好きな場所に置き、そしてその場所のその絵を描いたり、刺繍をするそうです。自分だけのオリジナルの着物ができるのですね。


これは波と舟かしら。
いかにも琳派らしい鶴や鹿や獅子などの絵柄もありましたよ。
可愛い小花も。


こうやって着物に絵の描かれた紙を置いていきます。


今回の参加者は着物に凝りだして6年、というおしゃれな男性がいたので、男の人の着物のこともいろいろと教えてもらいました。

話を聞いているうちに、10年ほど前に亡くなった父の着物のことを思い出してしまいました。

父は会社から帰るといつも母の手縫いの着物に着替えてリラックスしていました。
好きな囲碁に通う時も和服姿だったし、お正月はちょっと改まった着物を着ていたし、寒い時はトンビというオーバーのようなものを着ていたことなども思い出しました。

着物というのはいろいろな思い出と結びついていますね。

他にも博多織りにはクラスがあって、ラベルの色で見分けるとか、上等な金糸の織り方とそうでない金糸の織り方とかいろいろ教えていただきました。

私にとっては着物のことを学ぶというだけでなく、源氏物語のお姫様が着ていた衣装も思い出すことができるし、平家の娘たちや江戸の奥方の衣装を思い浮かべたり、長唄も関係してくるし、琳派の絵のことにもつながっていたりして、自分の好きな世界が深まっていくのは、とても楽しいひと時です。

それにこの呉服屋さんは絶対にここでは販売をしない、というので安心して参加することができるのはいいですね。

そんなふうにしていたら時間のたつのも忘れてしまい、人形町の駅に着いた時にはもう真っ暗になってしまいました。

8 件のコメント:

トントン さんのコメント...

そういえば、父は若い頃、白木屋の呉服売り場にいました。
父が施設に入所した頃、着物を出してみたら、そのせいか、こだわりがあったようで、いいもののようで、持ってきて今もしまってあります。
お正月くらいしか着なかったように思いますが、懐かしいものですよね。

おおしまとしこ さんのコメント...

まぁ、白木屋だなんて、懐かしいわね。
お父様は三味線も弾くし、写真の腕前もすごいし、かっこいい方だったんですね。その着物がまだあるなんて。うちの父の着物は全部始末してしまったわ。
男物の羽織の紐のふさふさが好きで、よくあれで遊んでいましたね。

マサ さんのコメント...

あ~、そういえば「ひとこし」って、聞いたことがあるわ。昔、祖母が言っていたのかな。
祖母は着道楽の人だったから、着物の話を母によくしていたのだけど、私には何を言っているのか、さっぱりわからなかった。
これだけ教えてもらって、販売はしてないと言うのが嬉しいわね。
販売してたら、買わなきゃ悪い気になっちゃうものね。

このビルには、保育園やら区民館やら高齢者の住宅やらさまざまな施設があって、幅広い世代が利用しているのね。

おおしまとしこ さんのコメント...

マサさんのおばあさまってお洒落だったんでしょうね。私の母方の祖母という人は死ぬまで一度も洋服を着たことのない人でしたね。

ひとこしちりめんというのは聞いたことがあったけれど、ふたこしというのは知らなかったの。ちりめんの布をほぐすと、糸がゴムみたいに伸び縮みしておもしろかったわ。

中央区っていろいろ住民対策が進んでいると思います。下が保育園で、上は老人の住宅なんですもの。これっていいですよね。うちの市でも考えてほしいですよね。

砧や 飯塚喜隆 Iiduka Yoshitaka さんのコメント...

拙い企画をご紹介くださり、有難うございます。

自宅で寛ぎながら着物を眺めて過ごすような、気軽な場にしていきたいと思っています。
また、遊んでやってくださいませ。

ハッセルぶらっと さんのコメント...

こんばんは
着物を着る方にとっては 最高の勉強会だったでしょうね。
「身八口」って ???です^^

家紋のぶ厚い本 あんなのが欲しかったのです。 因みに ジイとこの家紋は「扇に梅鉢」です。

おおしまとしこ さんのコメント...

kinutayaさん、こんにちは。
楽しく遊ばせて頂きありがとうございました。
そうですね、自宅で布を自由に広げる雰囲気というのはいいですね。
とはいえ、我が家には畳の部屋がなくて、着物を畳むのもフローリングの上やベッドの上、という状況なんですよ。

おおしまとしこ さんのコメント...

ハッセルぶらっとさん、こんにちは。
あのね、身八口(みやつくち)というのは、わきの下のところなんですけれど、男の人の着物はここが空いていなくて、縫ってあるんです。でも女性用の着物はここが10センチくらい(?)空いているんですよ。何のためかはご想像くださいな。
梅鉢というと加賀の殿さまの紋ですよね。
ハッセルさんはそちらのほうのご子孫でしょうか。