2016年12月1日木曜日

三浦しをん「秘密の花園」

グアム旅行記の途中ですが、ちょいと読書感想を書いてみました。

今回は三浦しをんさんが今から10年ほど前に書かれた小説です。

私は三浦しをんさんというと、まず、彼女のお父様を思い出します。
数年前、地元で古事記の講演会があり、その講師が三浦佑之先生▼で、なんとしをんさんのお父様だというので驚いたことがありました。

三浦さんの著書は「風が強く吹いている」、「まほろぼ駅前」もの、「神去りなあななあ」ものなどが好きでしたが、中でも文学の世界を楽しく描いた「仏果を得ず」が大好きで、何回も読みかえしていたほどでした。

ある日、図書館で三浦さんの「秘密の花園」という文庫本を見つけた時、あまり中身を確認しないで借りてきました。


ところが読みだして、えー、これはあの三浦さんが書いたものなのだろうかと不安すら覚えてしまったのです。

この本は私にとっては苦手の分野である「女子高生モノ」だったのです。

私のようなおばあさんになってくると、ティーンエイジャーの登場する小説というのは、どうも理解に苦しむのです。
たとえば湊かなえとか、朝井リョウなどの描く若者が登場する小説はとても苦手なのです。

さて、「秘密の花園」は三部に分かれていて、同じカトリック女子高校に通う3人の少女がヒロインになっていす。
最初の少女は、よその男子校の生徒と付き合っているけれど、付き合い方に悩んでいる。
二番目の少女は、裕福な家に生まれたお嬢様。同じ学校の若い男の教員と性関係を持っている。
三番目の少女は、本屋の娘で、亡き兄の亡霊にしがみついている。

そして彼女たちや、他の少女たちも、お互いに好きだったり嫌いだったりと複雑な人間関係の中にいます。

3人とも自分の存在に悩み、自分の行く道に悩んでいます。
それは青春時代の若者だけが持つ悩みで、年をとっておばさんになれば、そんなことを考える暇もないようになるものなのですが、彼女たちにとってはとても重要な問題なのです。

私は半世紀前の自分自身の高校生時代を思い出してみましたが、こんな深刻な悩みはなかったような気がします。
私はもっと幼稚で、彼女たちの方がずっと繊細で大人びているように思いました。

女子高特有の問題なのでしょうか。
若い女性の心のひだをうまく表現しているところはさすがだと思いました。

でも、やはりこういう類の小説は、私にはあまり共感できるのではなくて、モヤモヤした感じがどんどん増してきて、ただページを繰っていただけでした。

三浦さんもこういう小説を描いていたのか、というのが驚きでした。

一人の同じ作家さんでも、いろいろなジャンルの小説を描くものなのね、と思い知らされた小説でした。



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