大地震災害や放射能汚染の危機だというのに、悠長に古典文学でもないのですが、普段通りの生活にするのがいいと思って、あえて平安時代の女性の日記を読んでいます。
「蜻蛉日記」といえば藤原道綱母という人が平安時代に書いたということくらいしか知らなかったのですけれど、田辺聖子さんがこの本について詳しく講演したものが本になっていたので、読んでみました。
「田辺聖子と読む蜻蛉日記」
この「蜻蛉日記」は源氏物語と同じ頃に書かれたものだと思っていたのですが、この本の著者と紫式部とは35年くらいの年の差があり、紫式部のほうが後時代の人だそうです。
それで面白いことに、この蜻蛉日記の中に書かれていること(ノンフィクション)を紫式部が物語の素材として利用して源氏物語の中で小説として使った部分があるそうで、へーと思いました。
たとえば昔、頭中将が身分の低い女性に産ませた子供(九州に住んでいた)を、光源氏が自分の娘として引き取った話(玉蔓)などは、実際に蜻蛉日記の中に書かれていたそうです。
この蜻蛉日記の著者は「道綱母」ということで固有名詞はないのですけれど、旦那さんは藤原兼家という人でなんとあの藤原道長のお父さん(母親は別の女性)だというのですから、びっくりでした。
この夫はかなり上流世界まで出世をしたそうですけれど、息子というのはどうも駄目息子だったようで、個性の強いお母さんに育てられたマザコンだったみたいですね。
この日記には「夫が他の女性のところにいってばかりで私のところには全然訪れてくれない」ということが切々と書かれいて、この歌は百人一首にもあって有名ですよね。
「なげきつつひとりぬる夜のあくるまはいかに久しきものとかは知る」
当時は夫婦は結婚しても同じ家に住むことはなく、夫が妻のところに通ってくるという形式だったので、ひとり寝の淋しさが伝わってきますね。
特に蜻蛉は妹と同居していて、その妹の旦那はしょっちゅうやってきたんですって。それを横目に見ながらそんな歌でも歌ったのでしょうね。
いつの世も、ただ待っているだけではつまらないのですよね。
それにしても田辺聖子さんの古典に対する知識や好奇心がものすごく旺盛で深いことには関心しました。
この「蜻蛉日記」は原書で読むとものすごく難しいらしい(源氏物語よりもずっと)なので、田辺さんの力を借りて読んだ気に慣れたのはラッキーでした。
6 件のコメント:
そうですよね。
普段の生活をすることも 大切だと思います。
「??日記」 なんか 難しそうな本ですね。
ジイはいままでどおり、脳天気な写真で頑張りたいと思っています。
ハッセルぶらっとさん、こんばんは。
「かげろう日記」は昔、奥さん稼業をしていた人のだんなの愚痴とかが書かれている本です。男の人にはちょっと辛いかもね。
ハッセルさんの写真はいつも楽しみにしていますよ。
来週あたり、京都にでもぶらっと出かけようかなと思っています。
学生時代に(大昔?の話だけど)、友人が「蜻蛉日記」を卒論に取り上げていました。
私は読んだことがないのだけど、嫉妬深い女性の繰言だと思っていたわ。もっと、奥が深いのね。
そういえば、少し前のことだけど、としちゃんのブログを見て、私も林眞理子の「六条御息所源氏語り」を図書館で借りてきて読みました。
さらっと読めましたけど、これで源氏を読んだ気になっては、ダメよね?
マサさん、女子学生が卒論で蜻蛉日記をとりあげるというのは、すごいわね。でもまだ独身の学生がどこまで理解できたかは分からないと思うわ。
この人、確かにやきもち深い女性だけど、だんなさんはそれをうまく操っていたような感じがしました。でも当時の女性でこれだけ自分の心情を文章にしたというのは、やはりすごい人だったのでしょうね。
林真理子さんの六条御息所語りは、今までにない語り口でさすがだと思いました。うまくできているのですが、かなり現代風でしたね。
あたしなんて旧約聖書読んでますからwww
読みやすい小説仕立てのものですけど。
前にも読んで面白かったので
なんとなく読み始めたら
人間って2千年以上前から心は変わらないんだなーと。
ちょうど同じような、女性の嫉妬もたくさん出て来ます。
もう少しほっこりしたのも読みたいんですけど
本棚で目についたのがそれと金子みすゞさん.....
TV見ないあたしでもちょっとあの世界観から離れたいwwwww
史子さん、旧約聖書ですか。それはまた古いお話ですね。ノアの方舟などは現在の状況と似ているかもしれませんね。2千年前の世界でも人間の悩みや苦しみは同じなんですよね。
金子みすずはTVのコマーシャルで嫌というほど耳につきましたね。
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