子どものころに教えられたことは、半世紀以上の時を経ても、なかなか抜けきれないものです。
というのは、私は子どものころは祖母と同居していました。
その祖母は明治生まれの下町育ち。
日常生活はほとんど着物を着ていました。
その祖母が話すには、
・浴衣は夕方になって風呂上りに着るもの、
・着るのはうちの近所だけ、
・子どもなら赤い金魚や花柄のついた浴衣も良いが、大人になったら白と藍色に限る・・・・
というようなことをあれこれと話していたので、私も浴衣というのはそういうモノだと思い込み、すっかりその意識を刷り込まれていました。
おまけに私の母は大の洗濯好き人間で、すべての衣類には糊(残飯を溶いたもの)をべったりとつけていました。
それで、私は子ども心に「浴衣イコール糊でパリパリの痛いやつ」と思うようになり、私の浴衣嫌いは増長されていったのでした。
そして、大人の女性がカラフルな浴衣姿で電車に乗るなんて、顰蹙ものだと思っていました。
数年前から着物を着るようになっても、浴衣は敬遠していました。
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その意識が長いこと続いていたのですが、数年前から三味線のお稽古を始めるようになり、「浴衣会」というおさらい会をするときには、当然のことながら浴衣着用で、私も仕方なく浴衣を着ることになりました。
浴衣は毎年、替えていましたが、ほとんどが白地に藍色のものでした。
そして着方も決まっていて、半襟なしの白足袋、お太鼓結びという着方でした。
演奏してると、浴衣は暑くて暑くて、汗がだらだら。
それでなるべく涼しい浴衣にしようと思うのですが、綿紅梅の浴衣はけっこう高いし、誂えても年に1回か2回くらいしか着ることはありませんでした。
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そんな私でしたが、先日、商店街のお祭りがあり、留学生の女子たちにも浴衣を着て町歩きをしてもらうというイベントがありました。
そこで、私もちょっとだけお手伝いをさせていただく機会がありました。
その時の留学生たちの写真ですが、みなさん、なんとカラフルでカワイイのでしょう。
彼女たちの浴衣スタイルを見て、私の浴衣感もすっかり変わりました。
浴衣は藍色でなくてはならないという考えは吹っ飛びました。
ほんとうに楽しそうに着ていたのです。
とはいえ、70歳に近いおばあさんが、急に黄色やピンクや水色の浴衣を着るわけにはいきませんね。
でも何か色のついた浴衣を着てみたいという気分になりました。
そのとき、たまたまそのイベントで用意されていた黒×朱色の浴衣を見つけました。
寸法もほぼぴったりで、スタッフの皆さんの褒め言葉に調子に乗って、買うことにしました。
初めてのカラー浴衣(?)です。
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この浴衣は、濃紺に朱色の藤の花(?)でしょうか。
縦の流れがあるので、割とすらりと見えるかな?
ちょっと帯を変えて遊んでみました。
黒の半巾帯(裏側を使っています) と合わせてみたところ。
派手な水色の半巾帯(両面使いができます)
オフホワイトの兵児帯です。
たまには色のついた浴衣で遊んでみるのも、楽しいものだと思ったのでした。
若い人たちと一緒に行動していると、おばあさんになっても、新しいことに出会うことがあるのです。
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