2021年1月27日水曜日

「長崎ぶらぶら節」

去年の暮れに、なかにし礼さんがお亡くなりになりました。

昭和の歌謡曲をたくさん作った方ですが、「兄弟」や「赤い月」の小説も面白く読んだことを思い出しました。そして「長崎ぶらぶら節」はまだ読んでいなかったと気づきました。

そしてどうしても読みたいと思い、図書館で見つけて借りてきました。

この小説は吉永小百合さんの主演で映画化されたこともあり、どうしても彼女のイメージが思い浮かんでしまうのですが、主人公の愛八さんという芸者さんは長崎・丸山の実在の女性です。また彼女を相手として抜擢した古賀十二郎さんという学者さんも実在の人物です。

その二人の話を、なかにし礼さんが、さすがと思う手法で小説化されて、直木賞を受賞されたのでした。

「長崎の古い歌を採集したい」という古賀の強い願いに誘われて、愛八は愛用の三味線を片手に持って、彼と一緒にキリシタンのいる離れ小島などに出かけます。

2人の間の交流や、心情が、美しい言葉で綴られていました。

また彼女の周囲にいる人々、とくに雪という少女についての話は、悲しい物語でした。

最後は愛八が、西條 八十の強い勧めによって、「ぶらぶら節」をレコーディングします。

このレコードは評判になり、愛八も多額の金額を手にしますが、それを雪の入院費用に充てて、自分は質素な暮らしを続けました。

愛八は相撲ファンで、四股を踏むのが上手だったということですが、あの小百合さんもそういうシーンを披露されたのかしら。

また映画では古賀の役は渡哲也さんだったそうですが、学者であっても、ハチャメチャに芸者遊びをするシーンはちょっと想像できませんね。

心にしみる美しい言葉を縦横無尽に駆使して、小説を書いたなかにし礼さん。惜しい方を亡くしました。

私も昔、物語の舞台になった地域周辺を旅行したことがあったので、懐かしく思いました。

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このところ雨の日、晴れの日、寒い日、暖かい日が交互にやってきていますね。

ベランダのすみれも、雨のおかげで、枯れずに咲いています。

「一日一句」

花開く 雨の翌日 冬菫(ふゆすみれ)





2 件のコメント:

カンカン さんのコメント...

なかにし礼さん、私が学生時代の頃から、あふれる才能で詩を書いていましたね。
数日前だったか、「徹子の部屋」で懐かしい姿を拝見しました。素敵な人です。

おおしまとしこ さんのコメント...

私は、彼が若い頃、石原裕次郎と出会った話が好きでしたね。
まだ学生の時に、裕次郎さんから激励の言葉を受けて、
それで作詞家の道に進んだという話でした。
色々な出会いがあったのですね。

昭和を代表する男がみんな亡くなっていきますね。
残念ですが、しかたありません。