2014年4月14日月曜日

「天神 菅原道真」

このところ、三田誠広さんの歴史小説をずっと読んでいますが、今度は菅原道真のことを書いた小説を読みました。
道真のことはなんとなくは知っていても、実際はどのような人だったかがよく分からなかったので、三田さんの小説の力を借りて、道真という人をちゃんと知りたいと思ったのです。


菅原道真というと、学問の神様として有名ですし、京都の北野天満宮、博多の太宰府を始めとして、うちの近くにある神社も彼を祀った神社なのですが、どういう一生を送ったのでしょう。

三田さんの小説によれば、道真は生まれついての神童だったようで、そして学問の道を突き進め、政治の政界にも進出し、宇多天皇に重んじられましたが、藤原家からは疎んじられて、藤原時平によって大宰府に左遷させられてしまいます。彼の死後に多くの天変地異が起こり、藤原家の人たちは異常な死に方をしてしまいます。それは道真の怨念が原因だろうということで、多くの人がおそれおののき、死後数年経ってから太政大臣の位が贈られたということです。

道真の学問というのは、儒教なのですが、これは帝が第一、年長者を敬う、そして義を第一として扱うというものでした。

当時は藤原氏の勢力が強く(道長より100年ほど前の時代になりますが)、娘を帝に嫁がせて、そして生まれてきた子供の外戚として勢力をふるっていました。しかし道真はこれではいけないと考え、帝中心の政治を立て直そうとするのですが、なかなかすんなりいきませんでした。

彼は漢詩には才能がありましたが、和歌は得意ではなかったと書かれていました。
しかしあるとき、急に閃いて、そして作ったのが、かの有名な
「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘れそ」
でした。
またこちらは百人一首にも入っている歌ですが
「このたびは ぬさもとりあえず手向け山 紅葉の錦 神のまにまに」
も有名ですね。

彼の人生の中で面白かったのは、在原業平とはお友達だったという話です。
また小野小町とも面識があったように書かれていました。そういう有名人が登場するシーンは面白かったですね。

三田さんの小説では、道真の幼少のころから死後までの伝記が描かれていますが、私が思うに、道真という人は、よく言えば生真面目でしょうが、かなりの堅物で融通がきかない人のように感じました。なんでも四角四面に考えていたので、それが周りの人の反発をくらったように感じました。
また学者としては一流だったけれど、政治の世界を生き抜く力はなかったのかもしれません。
それは現代の社会においても、学者イコール優れた政治家とはならないことと同じかもしれませんね。
でもそんな道真のきっちりぶりが分かっただけでも収穫でした。
真面目一筋で生きてきたのに、左遷されて、そこで亡くなってしまう道真の無念さが伝わってきました。

なんとなく知っているだけで、あまりきちんと把握していなかった道真の人生が分かったので、それは面白かったですね。

ちなみに道真は2月25日に生まれ、2月25日に亡くなるのですが、これってうちのダンナの誕生日と一緒です。とはいえ、こちらのほうはそんなにきっちり人間ではありませんが・・・。

次の三田さんの小説はちょっと手ごわそう。
「空海」です。

なお蛇足ですが、三田さんの西行がとても面白かった▼ので、白州正子の「西行」にも手を出してみました。
でも内容が和歌の世界ばかりだったので、途中で沈没しました。やはり小説のほうが面白いわ。




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