「不便ですてきな江戸の町」~時空を超えて江戸暮らし~という小説を読みました。
著者は永井義男さんという方です。
簡単に紹介すると、現代の人間が、あるきっかけで江戸時代にタイムスリップして、そこで貴重な体験をする、というお話です。
まぁ、よくあるパターンですが、江戸時代の実際の生活実態がよく分かり、結構面白かったですよ。
タイムスリップする小説はよくありますが、普通の小説と違うところは、この主人公たち(古文書の研究者と、カルチャーセンターでそれを受講している若者の二人)は、かなり事前準備をきっちりとして、江戸時代にワープしていることです。
たとえば事前に古着屋で着物を買ったり、髪の毛はそり上げて医者として行動するようにしたり、名前もそれらしく変えたり、古銭をかき集めたりしていました。
彼らは長崎帰りの医者とその助手ということなので、現代語(カタカナ交じりの言葉)をしゃべっていても、それは長崎で取得した外来語だろうということで、周囲の人々に不審がられないように行動しました。
そして主人公が持参した目薬と痔の座薬が、江戸時代の人たちにも大いに効いて、彼らは名医ということになります。
彼らの名声は大奥まで届いってしまいます。
しかし長居してばれることをおそれて、およそ1週間くらいの滞在で、また現代日本へ戻ってくるのです。
その間に長屋住まいをして、江戸の町を見物しました。
彼らの感想としては、江戸はそれほど美しくはなく、肥溜めやごみ溜めも多いところだったということです。
既婚女性のお歯黒に驚いたり、狭い長屋に霹靂としたり・・・・。
それでも面白い体験をしたことに間違いありませんね。
また小説の間には、きちんとした資料が挟まれていて、話の裏付けとなっています。
私が一番面白いと思ったのは、当時の通貨についてです。
時代小説を読んでいても、○両とか○銭とかがよく分からなかったのですが、混乱するのも当然だと思いました。
つまり当時の社会では、「円とドルとユーロが混在していたようなもの」という説明を読んで納得したのです。
それらの通貨を時と場合によって使い分けていた江戸人は、頭が良かったのかもしれませんね。
そしてそれゆえに、両替商が流行っていたのだろうと思いました。
私もできれば大店のお嬢様に生まれ変わって、江戸の町を見てみたいものだと思いました。
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