能は「熊野(ゆや)」と「皇帝」、
狂言は「鴈礫(がんつぶて)」でした。
「熊野」は先月の謡音読会▼で習ったので、本物の舞台を見てみたいと思ったのです。
これは平家の宗盛と、彼の愛人である熊野のお話です。
音読会で解説を聞いていたので、ストーリーも良く分かりましたが、事前に学習していなかったら、ちょっと分かりにくいお話だったかもしれません。
わりと穏やかに進行する能のように感じました。
熊野が舞を舞う場面も、それほど華やかに踊るわけではなく、淡々とした感じでした。
それが「熊野 米の飯」と言われるように、飽きの来ない能なのかもしれませんね。
ちょっと気になったのは、宗盛役の方が、かなりお年を召していたこと。
面をつけていない役だったので、お顔が目立ちました。
たしか宗盛は40歳くらいで亡くなっているはずなので、都でこのように愛人と仲良くしていたのは30歳代だと思うので、少し違和感がありました。
かなり長い能でした。
次の狂言の「鴈礫」は面白かったです。
弓矢を引く大名の姿がおかしかったですね。
小道具に鳥(鴈)が出てくるのですが、これが黒い烏帽子を鳥に見立てていて、なるほど、こういう使い方もあるのかと思いました。
能と狂言が、サンドイッチのような構成で出てくるのは、良い知恵ですね。
やはりじーっと舞台を眺めているだけでなくて、大笑いすることも必要です。
最後の「皇帝」は玄宗皇帝のことで、楊貴妃も登場しました。
この能のシテ役は、謡音読会の先生である小早川修先生が演じていらっしゃいました。
学習会の時の温厚な雰囲気とはがらりと異なり、白髪の老人役と中入り後の鍾馗の二役を演じていて、病魔役との斬り合いは、迫力がありました。
お声もすばらしく、感激しました。
この能にはかなりの人数が登場しましたが、どの役の人も衣装が素晴らしくて、とくに玄宗皇帝の黒に金の模様の装束はかっこよかったですね。
ああいう柄の帯が合ったら良いな、と思いながら眺めていました。
楊貴妃はほどんどセリフもなく、じっと座っているだけのようでしたが、それはそれで大変なんだろうなと思ったりしました。
お囃子と謡もすごく長いのに、よく覚えられるものだと、感心してしまいます。
私の場合、どうも能に没頭するということはできずに、あれこれと邪念が湧いてきてしまいますね。
まぁ、初心者だからお許しを。
それにしても、能はやはり劇だと思いましたね。
音楽、セリフ、動きと揃ってこそ、能が成立するのでしょう。
昔の権力者が、能を愛した理由が少しは分かるような気がしました。
会場には、さすがに着物姿の方が多くいらっしゃっていて、すごく豪華な着物や、高級そうな着物をチラリと横目で眺めたりしていました。
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この日の装い。
だいぶ前に、神楽坂のフリマで買った若竹色の紬にしました。
ちょっときちんと感があるでしょう?
帯は、京都の弘法さんで買ったような気がします。
黒地の帯は、便利ですね。
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