年金生活者のため、歌舞伎鑑賞も安い切符で見ることが多いのですが、国立劇場▼の「歌舞伎教室」はお得な席です。
これは中学生や高校生を対象にした初心者向けの解説が事前にある歌舞伎ですが、お芝居そのものは他のものと遜色がありません。
今回は89回目の歌舞伎鑑賞教室となるそうです。
お芝居の前には、若手の役者さんたちが司会進行をして、歌舞伎の見方やしきたり、ストーリーなどを分かりやすく説明してくれます。
これはお芝居を見慣れている人にも、意外な発見があったりします。
おまけに国立劇場は3階席でもよく見えるので、他の劇場よりもずっとお得だと思います。
そんなわけで、先日は高校生たちと一緒に「新皿屋鋪月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)魚屋宗五郎」」を見てきました。
地下鉄の半蔵門駅に着くと、男子高校生たちがものすごい雄たけびをあげていて、内心、こんな子供たちと一緒に見るのはちょっと嫌だな、と思ったのですが、いざ幕が開くと、舞台のスケールの大きさに圧倒されて、真剣に見ていたようです。
解説の中で、黒御簾(学生向きにはブラインドと説明していましたが)の中で演奏している鳴り物の紹介がありました。
普段はお顔を出さない鳴り物の方たちも登場して、音を奏でていました。
この音を聞くだけで、歌舞伎の演出効果が高まりますね。
お芝居は幕末から明治初期に活躍した河竹黙阿弥の作品でした。
中村橋之助さんと中村宗生さんの親子共演が見もの。
橋之助さんは、主人公が酒乱になるところなどさすがにお上手でしたね。
実はこのお芝居には、地元の市民歌舞伎の指導役であり、私も市民カレッジで授業を受けた中村芝喜松さん▼も出演されていて、上品な奥様役をされていました。
お芝居が終わった時、鳴り物の福原鶴十郎さんからお声がけいただき、国立劇場の舞台裏を案内していただきました。
ちょうど午前の部と午後の部の間でしたので、お客様のいない観客席を眺めることもできました。
舞台の裏には大道具や、その日のお芝居には使用しない小道具などもたくさん置かれていて、巨大な倉庫のようでした。
そして黒御簾の中にも入らせていただくという、超ラッキーな体験をさせていただきました。
ここに座っていると、お客さまのお顔が良く見えるということは聞いていましたが、本当に外が良く見えるのでした。
写真は三味線の方が座る場所です。
大太鼓をたたく真似もさせていただきました。
照明が明るいと、客席から見えてしまうので、暗くしてあります。
「関係者以外お断り」という役者さん用の食堂にも入ってみましたが、舞台から想像するような豪華絢爛な食堂ではなくて、普通の社員食堂のような感じだったのは意外でした。
他にも舞台の下にある地下の施設も見学させていただきました。地下は巨大工場のようになっていて、とても迫力がありました。
この日は舞台裏まで見ることができて、とても幸せな時間を過ごすことができました。
鶴十郎さん、どうもありがとうございました。
このお芝居は6月24日まで上演されています。
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この日の装い。
かなり暑かったので、淡いグリーン色の単衣です。
帯は、横が越後の麻糸、横が柿渋の和紙で織られたものです。
焦げ茶にブルーの細い線が入っているのがお気に入り。
帯締めは京都のkaonn▼さん。
とても発色がよくて、他のものが少々ださくても、この帯締めをするだけで得点が上る帯締めだと思いますよ。
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