今回の企画展は「ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉」というタイトルで、エミール・ガレの作品の展示でした。
この日は、とてもお天気が良く、日傘が活躍しました。
最初に美術館の講義室で学芸員さんからお話を聞いたのですが、そのお話をちょっとまとめてみます。
ガレ(1846年~1904年)は、フランスのロレーヌ地方のナンシーというところで生まれました。
19世紀後半から20世紀初頭に活躍した方で、ガラス、木工、陶器、家具などの素晴らしい工芸品をたくさん生み出した人です。
当時はそのような分野の作品は、絵画などの美術作品に比べて低く見られていましたが、ガレはパリ万博に出品したりして、工芸作品を芸術品に高めたそうです。
こちらは小さな作品でした。
杯という説明でしたが、ちょっと飲みにくそう。
でもロマンチックな気分にさせるものでした。
こちらはかなり大きな花瓶でした。
蘭の花が豪華でした。
このようなブルーは、ガレ以前はなかったそうです。
ガレは作品に二つの要素を取り入れました。
一つは、「自然」。
ガレは植物学の研究者でもあり、論文も発表していたほどでした。
二つ目は「象徴」ということ。
つまり作品は見て楽しむだけでなく、そこに何かの意味を与えるようにしたということでした。
この二つを合わせると、ガレは、「自然を通して、自然に何かを語らせる」ということも意図していたようです。
ガレの作品ですが、初期はまだ彼の特徴がよく表れていなくて、ロココ調というか、中世の騎士を描いたり、ロレーヌ十字というロレーヌ地方のモチーフを使ったり、また日本の伊万里焼や狩野派のような絵画(松に鷹など)を描いていました。
その後、彼らしさが発揮されて、植物や昆虫などを細かく観察したものをガラス製品に表現するようになりました。
またナス、玉ねぎ、ひなげしなどを形どり、それをガラスに貼り付けるような斬新な作品も生み出しました。
彼は工芸品を販売する父親の後を継いでいて、そこの社長でもありました。
ということで彼はデザインなどはしていましたが、実際に作品を作り出していたのは多くの優秀な職人だったということです。
会場では、ガレの作品の特徴を良く出すために、鏡を使ったり、照明の当て方も工夫されていました。
なお今回展示されていた作品は、北澤美術館、オルセー美術館のコレクションから借りてきたものが多いそうです。
また常設展としては、ベルギーのルネマグリットという画家の「大家族」というのが宇都宮美術館の目玉として展示されていました。
6億円とかだそうです。
青空に白い雲が浮かび、それが鳥の形に切り抜かれているものでした。
それほど大きな作品ではないのですが、ゆったりとしていて、おおらかな気分になれるものでした。
ただしどうして「大家族」というタイトルが付いているのかが、私には不思議でした。
この美術館は森の中にあるのですが、緑が素晴らしかったですね。
ヤマボウシの花が白くてきれいでした。
庭には絵の具のチューブを絞ったようなモニュメントがありました。
「むにゅっ」とした感じでした。
こちらは帰りのバスで寄った羽生パーキングエリアです。
江戸時代風の古い建物が良かったですね。
ガレも良かったけれど、やはり日本人としてはこういう風景がなじみます。
バスの車内では、お隣に座った方も着物好きの人だったので、着物談議に花が咲きました。
市民カレッジでの美術館巡りでしたが、ゆっくりと楽しめました。
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