2018年6月9日土曜日

「夏しぐれ」

築山桂さんの小説も、3冊目になりました。
今回は「家請人克治事件帖 夏しぐれ」です。


主人公の克治は、今でいう不動産屋というか保証人代行業のような仕事を、深川でしている男です。
普通に家を借りることのできない訳ありの駆け落ち夫婦とか、貧しくてお金のない人のために、安い家を探してやったり、借りる際の交渉をしています。

実は、彼は2年前までは十手を手に、岡っ引きとして働いていましたが、ある事件のために大切な人を亡くしてしまい、そしてその仕事を辞めてしまった、という暗い過去があります。

ところがある夜、大川に身投げをしようとしていた大店の娘を助けたため、ある事件に関わってしまうことになります。

という導入まではなかなか面白いのですが、途中から登場人物が増えてきて、誰が誰だか分からなくなってしまいました。
とくに三角関係の(二股をしている)お侍さんが登場してきてからは、どうも分かりにくい。どちらがどちらの女性だったか、読んでいてもよく分からない。

それと謎めいた美しいお京さんという女性が登場するのですが、最後まで克次とこの人との関係が分かりませんでした。
お京さんは、名前からもなんとなく鈴木京香を思い出させるような、色っぽい上に、料理のうまい女性なのですが、お金持ちのお妾さんでもないし、かといって女中さんでもない。
克次はこの人のことを悪くは思ってはいないのですが、どうも煮え切らない。

この小説はシリーズになっているので、全巻読めば、克治とお京さんの二人の関係は分かっていくのでしょうか。
どうもモヤモヤして、読み終わってもすっきりしません。
(以前読んだ、緒方洪庵の事件帖にも同様の終わり方をした女性がいました)

それとこの話は江戸が舞台なのですが、築山さんの小説はやはり大坂が舞台の方が、面白いと思いました。

ちょっと肩すかしされた感じでした。


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