ちなみに「上布」というのは、「上等な布」という意味だそうです。
(こちらのショールは苧麻100%ではありません)
私は宮古島へ行けば、どこでも宮古上布を見ることができ、お土産屋さんでも売られているのだろう、と思っていました。
というのも、2年前に出かけた石垣島では織物体験もできたし、ミンサー織のお土産もあちこちで販売▼されていました。
ところが宮古島では宮古上布はあまり一般的ではないのか、普通のお店で見かけることはありませんでした。
それで「宮古島伝統工芸品センター」▼なら、見学できるだろうと思って、出かけました。
ところがこのセンターは、ガイドブックにもほんの少ししか記載されていなかったし、車のナビには、センターの存在すらありませんでした。
ということで、その場所を突き止めるだけで大変でした。
雨の中を車でグルグル回って、ようやく到着しました。
センターの建物の写真を写そうと思いましたが、その時は雨がザーザー降りだったので、あきらめました。
中へ入って、まず「作成工程ビデオ」を鑑賞しました。
まずは材料になる苧麻(ちょま)の説明がありました。
この植物の繊維を利用するのですが、茎の周りにある表皮をしごくために、「耳貝」という二枚貝を片手に挟み、皮をしごくというか、こそげ取っていました。
見ているだけだと簡単そうですが、実際にやったら難しいのだろうと思います。
次にはにその繊維を長く繋ぐのですが、それは結び目を作らない独特の方法で、撚っていくのだそうです。
もうこの辺りの場面を見るだけで、気が遠くなってきました。
次には経糸と横糸を機織り機に括り付けるのですが、これもすごく細かい作業でした。
一つ間違えたら、初めから全部やり直しをしないといけないそうです。
さまざまな道具が展示されていました。
これは模様を作るためのもの。
方眼紙にいろいろな指定が書かれています。
染色の工程では、泡盛、黒糖や水飴を入れて作るそうです。
えー、まるで食べもののようだと思いました。
その後には豚の脂を塗って、滑りをよくするのでした。
料理のビデオを見ているようで、織物ではないように思えました。
そして織り上った布は、今度は木づちで叩いていました。
4キロ程の重さの木づちだそうです。
まさに踏んだり蹴ったり、という感じで、上布は出来上がっていくのでした。
こちらは着物になった完成品。
いったいいくらするのか、想像がつきませんでした。
これらの製造工程は、それぞれの分野の専門家がするので、熟練の職人さんがしても、一日にほんの少ししか出来上がらないとのことです。
また高齢化が進んでいるので、今では宮古上布は、絶滅機種のような感じになっていました。
それでもセンターの奥にある実習室には機織りが10台ほど設置されていて、そこで習う人がいるそうです。
この日は土曜日でしたので、実習がお休みで、織っているところを見学できずに残念でした。
お土産コーナーには、手ごろな値段の(それでも数千円)小銭入れや、イヤリングなどのアクセサリーも販売されていましたが、ちょっと気に入ったものがありませんでした。
それで端切れをお土産にしました。
夏になったら、半襟にするつもりです。このセンターは、着物のことはまるで分からない夫や妹といっしょに見学しましたが、異世界を覗くようで、かなりびっくりしていた様子でした。
2 件のコメント:
気の遠くなるような伝統工芸が今まで続いて来たことは素晴らしいけれどこの島の状態を見ると今後はどうなるか心配ですね。手の届かない世界のものだけど、続いて行ってほしいですね。沖縄に行くときは久米島とか奄美大島とか織の産地に行ってみたいです。
そうね、いくら優れたものであっても、後継者がいなくなるというのは問題です。
幸い、ここのセンターでは宮古上布を織る人が講習を受けているようなので、
まるでゼロになることはないかもしれません。
でも人手でするというのは、それだけ高くつくということで、
そうなると買う人もいなくなってしまいますね。
もう少し国や県が応援しないといけないと思いましたね。
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