私たちの「源氏物語を楽しむ会」では、原文を読んで、その後に現代文で理解するようにしていますが、本当に少しずつの歩みです。といっても文字の一句一句を細かく解釈する、というわけではなく、おしゃべりの時間が多いので、あまり進まないのですが。
この日は、私は母の死後の手続きが重なり、また朝から大雨が降っていたので、よほどお休みしようかと思いましたが、それでもなんとか出かけてみました。するといつもの友人たちがいて、世間話をするだけでほっとできるのでした。こういう時間があり、また仲間がいるのは嬉しいことです。
さて今回の内容ですが、光源氏の息子・夕霧の学問についての場面が続きます。
元服の際には、「字をつける式」というお祝いの式があるのですが、そこには貧しいけれど学才豊かな博士たちが登場します。しかし彼らは借り物の衣装を身に付け、プライドだけは高くても、他の貴族たちには笑いものにされています。
彼ら博士たちは、よほどの家柄の出でない限り、出世の見込みはありません。家柄の良い上流貴族たちからは馬鹿にされることが多かったのです。
「乙女」の巻では、この場面についてかなり詳しく書かれていますが、それは紫式部の立場を反映しているものと思われます。つまり才能はあってもなかなか地位が上がらず、世に用いられることがなかった父の面影を書き残したかったのかもしれません。
不遇の文人・藤原為時(ためとき)の娘である紫式部は、光源氏の息子である夕霧には、大学でしっかりと学問を身に付け、世のためになってもらいたいという希望があっただったのでしょう。
そしてそれは、当時の上流貴族への批判も含まれていたのではないかと思いました。
源氏物語は色恋のお話だけでなく、当時の貴族社会も分かるので、読んでいて面白いのです。
「一日一句」
いとをかし いろいろ発見 源氏さん
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