2008年6月22日日曜日
待望の講義
私はこの日が来るのを、ずーっと首を長くして待ち続けていたの。
他のどんな用事も入れずに、絶対にキャンセルにならないようにしていたのよ。
それは、龍谷大学 RECコミュニティカレッジ東京というところでのお勉強会に参加すること。
《「源氏物語」を歩く -光源氏、都市に生きる- 》というタイトルで、龍谷大学の講義が東京でも学べる公開講座でした。
講師は龍谷大学文学部の准教授。
内容は、源氏物語の舞台となった平安京の町や近くの郊外を、その文学的見地と歴史的視点から踏まえる、というもの。
これって、私の興味とぴったり合致するの。
私は意味もなく地図を眺めるのが大好き。
そして今は源氏物語に夢中。
(ちなみに現在、瀬戸内源氏を読んでいるところ、)
そんな私だから、この講座に参加するのを本当に楽しみにしていたの。
東京駅近くの会場には90歳以上とおぼしき老インテリ女性や、定年退職したおじさま、若い女性まで300人以上、ぎっしりと聴講生がいたと思うわ。
みんな、きっと源氏のファンなのよね。
*****
講義の前に、京都府東京事務所というところの人が挨拶したの。
この講義は源氏物語千年紀委員会がやっている行事の一環であるから、ひとつよろしく、という趣旨でした。
秋には東京でも瀬戸内寂聴さんをお呼びして、大きなイベントがあるそうよ。
是非、行きたいわ。
*****
講義の前には、まず、源氏物語の文章の抜粋(当然、原語よ)と、京都近辺の地図が書いてあるテキストを渡されたの。
うーん、わくわくするじゃないの。
源氏がどこそこの姫君と恋愛をしたり、お参りに行ったり、方違えに行ったり、政治的活躍をした空間である平安京。
北は鞍馬の貴船神社から、南は宇治や平等院のあたりまで。
東は石山寺から、西は嵯峨の野宮神社まで。
講師の先生が、文章を読みながら、「ここに書いてある院というのは、地図上ではここになります」と説明してくれるの。
源氏がどこに住み、どこを通ったのか、その風景が見えてくるのよ。
そしてね、嬉しかったのは、私が4月に出かけた石山寺の説明を詳しくしていただいたこと。
石山寺というのは、当時の女性、たとえば蜻蛉日記の著者や、和泉式部、更級日記の著者などもみーんな、お出かけしているところなの。
講師の先生に言わせると、今でいう「癒しの場所」だったらしいわ。
つまり、都での生活に疲れた人が、身も心も癒すために出かけたのが石山寺。
そこの観音様に信仰をしていたらしいの。
石山寺は瀬田川を望む風光明媚なところで、琵琶湖も望めるところ。
そういったところに身を置いて、ゆったりとした時間を過ごすことが、当時の人には流行していたらしいの。
そういえば、石山寺には紫式部のお人形さんがいるのだけれど、江戸時代にはその人形の絵はすでに飾ってあったらしいわ。
そしてね、実在の人物だけではなく、光源氏も明石から戻ってきたときにそのお礼に石山寺に出かけたし、源氏の子どもの薫も、女三宮の病気治療のために石山寺に詣でるシーンが書かれているのよ。
そういうところに私も出かけたというわけ。
このお話を聞いて面白かったのは、当時の人たちって、活動範囲がすごく狭かったということ。
その頃、平安京には10万人くらいの人が住んでいたらしいのだけど、いわゆる繁華街(というのはおかしいな)というか、人々が主に生活していたのは、地図上で言うと京都の北東の地域だけだったらしいの。
だから嵯峨野の野宮神社とか、宇治に出かけるというとなると、ちょっとした小旅行の気分だったのかもしれないし、物の怪が出るような雰囲気もしたかもね。
それに光源氏の行動範囲はかなり狭くて、二条の辺りから五条くらいまで。
藤壺の実家と源氏の生家なんて、ほんの目と鼻の先なのよ。
これじゃ、不倫があっても仕方ないかも、と思えるほどでした。
他にもいろいろな場所を教えていただきました。
夕顔と秘密のデートした場所だとか、朧月夜と出会った場所だとか。
本当に楽しい講義だったわ。
いつもはサイエンス系のセミナーに出席することが多くて、そういう場合って、スクリーンにパワポで映し出すことが多いのだけど、今回はホワイトボードに手書きの説明。
そういう講義も、かえって新鮮でよかったわ。
ますます源氏物語のファンになった講義でした。
なお、今日の写真はFUZZYというところからいただきました。
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17 件のコメント:
「源氏物語」今またブームですね。
京都には6月19日に行ってきました。
平安神宮の中庭を散策したのですが
以前は無かった源氏物語ゆかりの花に
説明が付いていました。
石山寺は以前行ったのですが、不勉強だったので残念です。
高い所に建っていたので風光明媚なお寺でしたが、階段を108段登って疲れた事を思い出しました。
秋には東京で瀬戸内寂聴さんの講演が
有るのですね。是非行きたいです。
土曜日に大きい本屋さんに行ったのですが、源氏物語はたくさんあって、選べずに帰って来てしまいました・・・
初心者にもわかり易いお薦めはあります?
教科書に載っていたのと、漫画のあさきゆめみしを借りて読んだだけなんです。
原語だなんて・・・考えられない(笑)
古文の成績は悪くはなかったのですが、授業で習っただけでは役に立ちませんね^^;
連続投稿ですみません・・・
あ、ふたつ載っちゃった(焦っ)
いっこ消して下さい!
蘭さん、19日の京都は日帰りだったのかしら。私は平安神宮は中学の修学旅行しか行っていないかも。今は京都府をあげて、源氏ブームですね。どこに行ってもパンフレットがあって、あやかりたい気持ちが良く見えます。
石山寺は私もよく知らなくて出かけましたが、もっと知っていればよかったと思いました。
来月、また京都に行く予定なんです。
回数券を買ったほうがいいかな、と思うくらい京都づいています。
史aya子さん、このブログって、すぐ二重投稿になるんですよね。
「あさきゆめみし」を読んだなら、ストーリーは分かっていらっしゃるから、後はお好きなものでよいのでは?
「源氏物語千年紀」のHPにいろんなお薦め本が載っていますよ。
どんな本でも言えることだろうけれど、私は読んでいてその風景や匂いが伝わってくるような本が好き。後は想像力で読みます。
そういう意味で、この前読んだ「アイムソーリーママ」はまるで景色が浮かんでこなくて、ちょいと残念な本でした。
としちゃん
京都行き、来月は何時ですか?
私は夫の仕事の関係で6月は19日から
22日まで大阪でした。その間一日だけ
京都に行ったのですが、平安神宮の菖蒲を
観ただけで戻りました。
来月は7月24日~26日まで大阪です。
大阪天神祭りと花火がすごいですよ。
24日は未だ予定が入っていません。
サトさんにでも連絡してみようかしら?
龍谷大もいい公開講座を設定してますね。そんなにお客さんが集まるなんて、やはり文学ネタは得だなあ・・・
昨日、ちょうど雨上がりの鷹峯の光悦寺と式部ゆかりの廬山寺に行きました。ちょうど桔梗が見頃です。京都は何度行ってもあきませんねえ。
蘭さん、そうなんですか大阪にいらっしゃるのですね。ご主人に同行されるのかしら?
大阪のお祭というのは、聞くだけで凄感じがしますね。迫力がありそう。
さとさんに連絡したら喜ばれると思いますよ。
たかぽんさん、東に西に充実した休日ですね。関西に住んでいるというのは、羨ましい。廬山寺は一度行ってみたいところです。桔梗が咲いているんですね。きれいだろうな。
私は龍谷大学というのはほとんど知りませんでしたが、創立350年で、もともとは西本願寺のお坊さんが勉強するところだったそうですね。
この講師の先生、割とユーモアもあって、教え方がうまかったですよ。
一人1500円の講義代でしたが、凄くたくさんお客さんがいたので、これでいくら収入がある、なーんて考えてしまいましたよ。
蘭さん、7月の京都は5日・6日だけです。
今回は奈良に行く予定。
大阪はね、昔、梅田で転んで足の指を骨折したので、それ以来、鬼門になっています。あー、恥ずかしい。
としちゃんにピッタリの講義だったのですね。角田先生の地図の(もちろんこれも千年紀にちなんだものですが)はじめに京都の町は変わったけれど取り囲む山々の位置は寸分違わないと書かれています。
この地図を手に源氏物語の世界に心を遊ばせ、その息づかいを身近に感じていただければと結ばれています。
まさにピッタリでしょ!
地図を広げればホントに近いところにあったことがよく分かりますね。
蘭さん24日は定休日で私一日空いておりますが(笑)是非会いましょう。
としちゃんは5日にお待ちしていますね。
廬山寺のキキョウもいいらしいですね。近いです。
さとさん、そう「源氏物語の世界に心を遊ばせ」という言葉、ぴったりでした。物語の場所が分かると本当に身近に感じますよね。
今年はさとさんにも源氏イヤーだから、同じ話題で繋がるのは嬉しいです。
源氏物語は何度か手にしたことはあるけど、最後まで読んだことないんですよね。としちゃんのブログを読んでいると、また挑戦してみようかなぁ~って、気になります。
来月奈良に行かれるんですか。何を見るのかしら。奈良って、京都に比べると地味な感じがしますが、私はとても好き。
源氏物語は楽しいですよ。
マサさんは、奈良は詳しいのよね。でも奈良ってあまり交通の便がが良くないみたいで、何箇所もあちこち行けないみたいですね。
今回は唐招提寺と薬師寺だけにしようかと思っているんですけれど、何かアドバイスがありましたら、よろしくね。
偶然京都でお二人に、なんて
想像したのですが残念!
唐招提寺と薬師寺は私も大好きです。
昨年奈良の友人に案内されて古い薬師寺後
を案内されました。
さとさんには連絡してみます。
24日空いているようですので
嬉しいわ。
蘭さん、ちょっと日程が合わなくて残念でした。
唐招提寺と薬師寺はこの前、展覧会で実物を拝見したので、本場の奈良でもう一度お目にかかりたいの。
本当は京都をもう少しゆっくりしたいのだけど、なかなか連続して休めないので、いつも1泊旅行です。
蘭さんが羨ましいわ。
さとさんと楽しんできてくださいね。
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