2008年6月17日火曜日
I'm sorry,mama
これは最近読んだ、桐野夏生さんの本のタイトル。
なんか、よく分からない内容だったな。
桐野さんの本は、「OUT」、「柔らかな頬」、「グロテスク」、「魂萌え」とかいろいろ読んできて、理解できる部分とどうも納得がいかない部分があるのだけれど、それでも読んでいるときのワクワク感というか高揚感はあるのよね。
ところが、この「アイムソーリーママ」はまるでそういう感情が生まれない本でした。
ショッキングな内容が次々と続くのよ。
殺人、それも焼き殺しとか、それに誘拐とか詐欺とかね。
売春婦の置屋育ちで、その後養護施設に預けられて育つという女性が主人公。
本当の母親が分からないの。
その彼女が本当のママを求めてあちこち出没するの。
他の登場人物も、かつて娼婦だった老女たちとか、どうにも胡散臭い人たちばかり。
それも若者ではなくて、50代、60代といった人々が次々と現れて、誰が誰だか人物像がはっきりしないのよね。
そして、毒々しい話がこれでもか、これでもか、と続くのです。
本当なら悲しいストーリーなんだろうけれども、あまりに悲惨すぎて、感情移入ができなかったわ。
この本は「小説すばる」に何回かに渡って掲載されて、それを加筆修正をして出版したものと説明してあったけれど、桐野さんが本当に書きたいものだったのか、あるいは依頼されて仕方なく書いたものなのか・・・。
彼女の最新作「東京島」も読んでみたいのだけど、何だか怖いもの見たさ、という気持ちもあるわね。
プロの作家ともなれば、出版社から次々に押されるようにして、新作を発表しないといけなにのだろうから、大変だろうけれども、愚作というのは出さないでほしいな。
というか、この「アイムソーリーママ」は桐野さんの本を今まで読んだことのある人なら、読んでもいいだろうけれど、この本が最初の桐野本になる人にはお薦めできないわ。
と、勝手なことを書いちゃったけれど、読者というのはそういうもの。
私は誰かある作家を好きになると、とことん、その人の書いたものを読みたくなるたち。
好きな作家にはある一定以上の水準を保ってもらいたいのよね。
出す本、すべてが最高作品でなくても、やはり感動する作品に巡り合いたいわ。
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13 件のコメント:
あらっ、偶然にも同じ本の話題ですね。
私は紅蓮さんの本だけどね。(笑)
ここ2.3日風邪でダウンでした。(ホントに珍しく)スキーが終わって一気に気が抜けた?のかしら。
耳鼻咽喉科に行きました。鼻の調子が悪くてね。内科より耳鼻咽喉科のほうが風邪には効き目があるようです。
としちゃんもお体ご自愛下さい!
さとさん、お風邪は大丈夫ですか?
いつも風邪なんか引かないでしょうけれど、このところ暑かったり寒かったりでダウンしたのかしら。無理されませんように。
鼻の調子が悪いと、気分が悪いでしょう。
頭もぼーっとするかもしれませんね。
私は風邪は大丈夫ですけれど、このところ、朝早く起きているので、眠たくて仕方ないの。
ただいま。今日からブログ再開しました。
またよろしくお願いしますね。
時差ボケもやっと治りました。(笑)
諏訪ッチさん、お帰りなさい!!
また素敵な写真をたくさん載せてね。
chaeちゃんも、一安心ね。
「アイムソーリーママ」は、私も読みました。グロテスクで、後味の悪い話でしたね。感情移入できる人は、あまりいないと思いますよ。共感できる、なんて人がいたら、それこそ変。
桐野夏生の小説はたいてい読んでいますが、基本的に「グロ」だと思います(苦笑)
「柔らかな頬」や「魂萌え」は、そうでもないけど、どこかダークな部分はある。
でも、「読んでみたいな」と思わせる魅力がありますね。桐野作品には。本人も、とても魅了的な人。
あたしはこう云うお話、好きかも知れません。
実は、ネクラでして(笑)
救いのない話は独特の面白さがあります。
この方が、結構現実と近いかな、と思ったりして。
これはハードカヴァーでしょうか?
文庫化したら、読んでみようかしら。
恥ずかしながら一冊も桐野夏生の本は
手にしたことがありません。
としちゃんが好きな作家だというので
読んでみようかしら。
私は明るい前向きな内容の方が好きなのですが、恐い物見たさ?かしら?
マサさん、あんな美人の作家がこんな怖い話を書くのもすごいわよね。
彼女の本は、この本は別として、最初の導入が面白いのだけど、なんか尻つぼみというか、終わりがまとまらないと思うの。
それにしても次々にタブーに挑戦していく人ですね。
史aya子さん、文庫になっているかどうかは分かりませんけど、私は図書館で借りて読みました。
最近は現実のほうがもっと恐ろしい事件がいろいろあるから、小説家もどんどんエスカレートしていくのかもしれなない。
蘭さん、初心者には「魂燃え」か、「柔らかい頬」くらいにしておいたほうが、いいかもしれません。後味が悪い本をわざわざ読むことはないでしょう。私は別に桐野さんのファンというわけでもないんですけどね。
「OUT」なんて読んだら、この前のばらばら殺人事件を思い出してしまうかもしれませんから、今の時期は、お薦めしませんね。
「魂燃え」は「魂萌え」の変換ミスでした。
訂正します。
ありがとう!
「魂萌え」よんでみます。
蘭さん、魂萌えの主人公は私と同じ名前なのです。それでちょいと、気になるのです。
TVも映画もありましたよ。
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