講師は「縫って・着て・喋れる和裁士」のHさん。
「仕立屋さん」とか「和裁士さん」とかいろいろな呼び方がありますが、和裁士は、国家検定の資格です。Hさんは1級技能和裁士さんで、最近は、いろいろな雑誌でも取り上げられていらっしゃる活躍中の方です。
会場は2階の広い和室でした。
お客様用の座布団がたくさん敷かれていましたが、地方の呉服屋さんが開催する着物セミナーには、どれくらいの方が参加されるのか、私もちょっと分かりませんでした。
ところが時間になると、どこからともなく多数の参加者が集まっていらっしゃいました。
赤穂やその周辺、岡山からも参加者がいらっしゃいました。
だるまやさんの人気は素晴らしいのですね。
きっと平常から地道に「きもの塾」などの活動をされている成果だろうと思いました。
Hさんはまずご自分のこれまでの仕立士としての生活を語られました。
若い時には5年間、住み込みで修行をされ、1日に1枚は着物を仕立てる毎日を続けていらっしゃったそうです。
これまでに仕立てた着物は、トータルでは6000枚ほどになるのだとか。
すごいですね!
ところが着物事情の変化により、待っていても仕立ての仕事があるわけではないので、2012年にご自身でホームページを立ち上げ、ご自分から発信して、仕立ての仕事をPRされるようになったそうです。
そのHさんがおっしゃる「良い仕立て屋さん」とは、
まず、一つには笑顔で接してくれること
もちろん仕立ての技術が良いこと
お客様の相談をよく聞くこと
そして、自分も着物を着ている仕立て屋さんが、信用がおけるということでした。
仕立士さんというのは、着物は仕立てることはあっても、納品後は、どのような人が、どのようにして着物をまとっているかはほとんど知る機会がないそうです。
ですから、縫っていただいた後には、「こんなふうにして着て、こんなところにお出かけしました」という連絡をしてあげるととても喜ばれるということでした。
また仕立てをお願いする方も、人任せにせずに、細かく注文しても構わないそうでした。
お話の後に、Hさんはそれまで身に着けていた帯と着物をはらりと脱いで、二部式着物の説明をされました。
私は新宿で行われた東京都の技能士フェアで知っていたので▼、それほど驚きませんでしたが、他のお客様の驚きと言ったら、「おお~!」というどよめきが聞こえたほどでした。
その二部式着物はとても人気が高くて、質疑応答の時にもいろいろと質問がありました。
こちらはお母様が着ていた夏着物を、なんとか直したいという相談者に対して、寸法を測っているところです。
Hさんは、着物を扱うときは、お化粧もせずに縫っているそうです。
仕立ての方法は、関東式といって、あぐらのようにして足を使って縫うので、ふだんはズボンを穿いていらっしゃいます。
会場では仕立士さんに質問したい方が多く、「成人式の袋帯を子供の七五三の帯にしたい」という方や、「帯の裏側の模様の方が気に入っているがなんとかなるか」など、みなさま、それぞれ品物を持参されての相談タイムは、楽しかったですね。
私も着物を着るとよく衿と肩の間にシワが寄ってしまうのですが、それを解決する仕立ての方法もいろいろと教わってきて、参考になりました。
セミナーが終わって、左からほっとした表情の仕立士さん、だるまやさんの女将さん、岡山県の観光特使でもある仕立士さん。みささん、とてもおおらかで楽しい方たちでした。
この日はちょうど上郡ではお祭りの日で、お店の前では獅子舞が行われていました。
こちらはだるまやさんから、お土産に頂いたモロヘイヤのふりかけ。
モロヘイヤは上郡の特産なんだそうです。
実はこのセミナーが始まる少し前にお店に到着してしたので、お店を拝見させていただいた後は、おうちの方も案内していただきました。
私は都会のマンション住まいなので、古い一戸建てのおうちは物珍しく、そしてとても居心地が良かったですね。
京都の町家のような細長い間取り、履き物を履いたままで調理するお台所、高い天井など、どこを見ても気持ちの良い空間でした。
だるまやさんの女将さんの自然なおもてなしが、最高でした。
楽しくて、ためになったセミナーを聞いた後は、車で「かんぽの宿・赤穂」に場所を移して、慰労会をしたのでした。
(この項、続きます)
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