先日、若い着物友だちのIさんからのお誘いを受けて、「能面・能装束虫干し」という珍しい場に参加してきました。
珍しい虫干しの様子を、一般公開していました。
着物の虫干しというのは、一般的には、乾燥した晴天が続くことが多くて、気温も暑くもなく、寒くもない頃が良いと言われています。
となると秋口ということになりますが、その頃は「能の世界では稼ぎ時期」ということで、今回のように真夏の暑い盛りに行わたようです。
2日間の虫干しの間、この日は、地元の市民カレッジなどでもお世話になっている、能楽師シテ方の山中迓晶先生が、レクチャーをして下さいました。
いつもの和服ではなく、動きやすそうに気軽なTシャツ姿でした。
参加者はおよそ20名ほどで、能がお好きだとお見受けする女性ばかりでした。
さて、虫干しは、どこで行われたと思いますか?
なんと能楽堂の中、舞台や橋懸り、鏡の間、客席、ぜーんぶに衣装が掛けられていたのです。
虫干しの場面は撮影禁止でしたので、以前、梅若能楽学院会館で能のレクチャーを受けた時▼の写真をご参考に、どんなところで行われたか、想像してみてください。
舞台の四隅にある柱には、太いロープを張って、そこに重い能装束がずらりと吊るしてありました。
重厚な唐織、刺繍をほどこしたもの、古いものから比較的新しいものまで、たーくさん、並んでいました。
こちらの橋懸りにもズラリ。
絢爛豪華な衣装が何枚も吊るされていました。
錦糸や銀糸が使われていている装束が多く、キラキラとしていました。
こちらの鏡の間には、まだたとう紙に包まれたものが山積みになっていました。
客席にも、背もたれのところから座席まで、衣装が広げられていました。
もう壮観、圧巻、見たことのない風景でした。
能楽堂のすべてが、虫干しの場と化していました。
それでも、全部の持ち物の何分の一くらいなんだそうです。
いったいどれだけ保管されているのでしょうね。
こんな例を出しては悪いのですが、能装束が吊るされている光景は、巨大冷蔵庫にある牛肉や豚肉の塊のようにも見えました。(すいません!)
それとは別に、畳の部屋には、能面、扇、冠、帯などが所狭しと並べてありました。
私がきれいだなと思ったのは、頭から背中に長く垂らす幅4cmほどのヘアバンドのような帯でした。
色も模様もとても豊富で、チロリアンテープのような感じのものや、渋いものから派手なものまでいろいろあって、楽しめました。
この虫干しの場を兼ねて、いろいろな修繕作業も行われるのだそうです。
能装束は、保管しているだけでも大変でしょうね。
保険はかけてあるのかしら?
とはいえ、お金には代えられない貴重なものばかりです。
素材も技術も昔とは異なるので、二度と作れないものだと思います。
大変、貴重なものを見せていただきありがとうございました。
山中迓晶先生のお話も面白く、古いものを大切に扱う気持ちが伝わってきました。
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この日の装い。
この日は35℃くらいの暑い日でしたので、私は着物はパスしました。
若い着物友だちは、私がブログ友達のUさんからいただいた着物を、facebookでお譲りしますとお知らせしたところ、真っ先に手をあげて下さり、その着物を着てきてくださいました。
とても似合っていて、涼し気ですよね。
半巾帯と、日傘(写真では見えませんが)はどちらも金魚の模様でした。
個性的に装っていただき、私も嬉しく思いました。
私はもう15年くらい前から、着ているチュニックでした。
暑くても着物は着たいとは思うのですが、すぐにあせもができてしまう体質なので、炎天下で汗をかくと、痒くてたまらないのです。
それで古い洋服を引っ張り出して着ています。
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