ここは、明治から大正にかけて活躍した実業家・大倉喜八郎が設立した美術館ですが、日本では最初の私立美術館だそうです。
喜八郎さんという方は、数多くの業績を残した人ですが、美術品の海外流失を嘆いて、大正6年(1917年)に集古館を設立。長年にわたって集めた多数の文化財を寄付したそうです。
堂々とした風格のある方でしたね。
その後、大正12年(1923年)の関東大震災によって、建物と多くの所蔵品を失ってしまいましたが、昭和3年(1928年)に、中国様式の建物を建築しました。
そして長男の喜七郎さん(親が八郎で、息子が七郎)が父の遺志を継いで、美術館の経営を支援して、また自らが蒐集した名品を多数寄付したそうです。
すごい財閥の親子ですね。
喜七郎さんは、ホテルオークラなどのホテル業でも活躍されました。
現在、こちらの美術館では、国宝や重要文化財を含めて、約2,500もの美術品を所蔵しているそうです。
昔のお金持ちは、美術に対して、愛と理解があったのですね。
今回の展示は「能と吉祥 寿」という内容でした。
新年に相応しい、松竹梅や宝尽くしといった吉祥文様の作品が並んでいました。
美しい能装束、能面の他に、大皿や香箱、そして国宝の「普賢菩薩騎象像」も展示されていました。
能装束は、襟の付け根のところが少しほころびていましたが、手の込んだ、鮮やかな刺繍の色などはそのままでした。
ほとんどが江戸時代のものでしたが、よく保存されているものだと思いました。
ただ、できればその装束が、どの能を演じるときに着用したのかが、説明されていると良いと思いました。
私が一番気に入ったのは、3幅の「石橋・牡丹図」でした。
鈴木守一筆ということでしたが、この方は鈴木其一の息子だそうで、さすがに画風は其一そっくりの端正なものでした。
(本物はもっときれいです)
今回は、和の世界に詳しく、能も習っていたY子さんもご一緒でしたので、参考になるお話を伺えました。
特に香道については、私には何に使うのかまるで分からない道具のことも説明していただきました。
和の世界には、いろいろな美しいお道具が揃っているものなのですね。
こちらの展示会は、2020年1月26日まで開催されています。
入館料はワンコインです。
集古館の後は、リニューアルされたホテルオークラをちょいと覗いてみました。
2019年9月にリニューアルオープンされました。
ゴージャスだけれども、和風テイストのすっきりとしたロビーでした。
このホテルでランチというのは、ちょいと高そうなので、六本木一丁目まで歩いて、リーズナブルなカフェに移動しました。
大きめにカットされた野菜がたっぷり入ったカレーでした。
Y子さんと、和のお稽古事談議などをして、ゆっくりとカレーをいただきました。
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