吉田修一さんの「国宝」を一気に読み終えました。
分厚い上下巻ですが、上巻は「青春篇」、下巻は「花道篇」です。
2017年1月1日から翌2018年5月29日まで、およそ17ヶ月に渡って朝日新聞で連載された小説です。
そんな長い間掲載されていたのに、ほぼ1日半(実質数時間)で読み切ってしまいました。
私も掲載中は、ところどころ読んでいたので、なんとなくストーリーは知っていましたが、まとめて読むとその面白さは半端ないくらいでした。
それほど主人公が魅力的で、また周囲に登場する人たちも個性的な人ばかり。
それでどんどん先を読みたくなるお話でした。
この小説で描かれているのは、極道の家に生まれ、そしてひょんなことから歌舞伎役者の弟子となり、最後には役者としての頂点にまで登りつめた、喜久雄の凄まじいまでの人生です。
彼は昭和25年生まれということですから、私とほぼ同じ年代の人間ですが、彼の人生と私の人生、あまりにもかけ離れすぎていました。
主人公、激動の昭和と平成を駆け抜けた人でした。
愛する人の死、さまざまな事件や事故やスキャンダル、そして芸の世界。
普通の人の何倍もの濃密な人生を送ったのですね。
舞台は長崎から大阪、そして東京へと移ります。
小説の中には歌舞伎の名場面や、長唄の歌詞が散りばめられています。
豪華絢爛、めまぐるしく美しい世界が描かれています。
著者の吉田修一さんは、かつて歌舞伎の黒子をやっていた経験があるそうです。
でも経験だけでこれだけの小説が書けるわけではありません。
巻末には膨大な参考資料が掲載されていました。
いやはや大変な小説でした。
吉田さんの著書は「悪人」しか読んだことがありませんが、他の本も読んでみたいと思いました。
映画化されないかしら、でも無理かもしれませんね。
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