2020年1月21日火曜日

「稚児桜」

最近、読み始めた本は「稚児桜」です。
「能楽ものがたり」というサブタイトルが付いています。


「若冲」で有名になった澤田瞳子さんの作品です。
能の名作からインスパイアされた歴史小説の小品集という、ちょっと変わった内容です。

2019年の12月に出版されたばかりの新刊です。

下敷きになった能は、
「山姥」、「小鍛治」、「花月」、「国栖」、「善知鳥」、「雲雀山」、「班女」そして「葵の上」の8作品。
これらの能を澤田さんが解釈されて、アレンジして、それぞれのお話に作り直しています。
どれも人間の心の奥底に潜む感情が描かれています。

ブスに生まれついてしまった少女、何のとりえもなく生まれついてしまった少年、将来が見えない子供たち。
そしてそんな彼らを取り巻く年上の人間たち。
現代でも通用するようなお話ですね。

そしてすっきりとした文章が美しい。

表紙がちょっと恥ずかしい。
山科理恵さんという方の絵です。

最近は、古い文庫本も、このような装丁にして、売られていることが多いですね。
たしかに目を引く表紙ですが、なんかちょっと通俗的な感じもします。



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