2008年6月8日日曜日

日光・月光


上野の東京国立博物館に「国宝薬師寺展」を見に行ってきました。

6月8日の最終日を前にして、ものすごい人出でした。

HPでチェックしたときは「150分待ち」って書いてあったの。
えー、ウソでしょと思いますよね。

現地に行ったら「ここが最終列です」という標識があって、そこには「70分待ち」と書いてありました。

70分も待つのは辛いけれど、でも薬師如来が作られて1300年、その間、門外不出で、どこにもお出かけをしたことのなかった仏像を拝めることができるなら、待つのも価値があるかも。

博物館では、日焼け防止のために、日傘まで貸してくれるのです。親切ね。飲み水のサービスもありましたよ。

40分後、ようやく博物館の中に入ることができました。


奈良の薬師寺というのは、そもそも、天武天皇が奥さま(持統天皇)の病気の治癒を願って作られたお寺だそうです。

初めは飛鳥の藤原京に作られたそうですけれど、その後の奈良遷都に伴い、移動されたそうです。

うーん、このあたり日本史の時間に習ったはずなのだけど、イマイチ、記憶がきちんとしていません。

私は薬師寺というと、今から○○年前に、高校の修学旅行で行ったきり。
当時は高田好胤さんという面白いお坊さんの説明を聞いていた記憶があります。

ちなみにある仏像彫刻家の話によると、
「仏教が作られた北インドから見て、西の彼方にいるのが阿弥陀、東の彼方にいるのがお薬師」だとか。

それで太陽が昇ってくる東にいるお薬師さんというのは、明け方を意味して、とてもエネルギッシュなんですって。

ちなみに菩薩というのは、悟りを開いた如来になる前の、衆生救済の願いを持って修行している状態なんだとか。

仏像ってきちんと分かろうと思うと、難しいわね。


最初の展示室には日光・月光菩薩の立像が展示してありました。

私達がいつも眼にするお姿とどこか違うなと、思ったら、それはお像の後ろについている金ぴかの「光背」がなかったからでした。

だから真後ろからも横からもばっちりと眺められるのです。

向かって右に立っている日光菩薩は右の腰を突き出し、左に立っている月光菩薩は左の腰を突き出しています。この姿は「三曲法」というんですって。

お二人とも優雅な雰囲気でしたけれど、私の個人的な趣味でいったら、右側の日光菩薩のお顔が好きかしら。
月光よりも優しい顔つきのように感じました。

それにしても、本物の仏像をこんなに近くで見たのは初めてでした。
とても大きいの。
3メートルくらいありました。

これは銅で作られているそうなんですけれど、衣や装飾品などの細かいひだひだの部分までとても丁寧に作られていました。

菩薩さんというのは後姿を見ていると女性なんですけれど、胸はぺちゃんこで、けっこう筋肉質。
でもウエストなどは細くて、男性なのかどうかも不明でした。

なお、薬師寺では通常はこのお二人の間に如来様が座っています。
今回の展示では如来様は奈良でお留守番のようでした。


次の展示室には吉祥天女の絵や玄奨三蔵の仏像などがありました。

吉祥天女は眉もくっきりと鮮やか、唇もぽってりとしていて紅色の美しいこと。でも意外と小さいので驚きました。

それから私が注目したのは、きれいなグリーン色をした壺。
何に利用したのか分かりませんけれど、壺の上のほうに4つも注ぎ口が付いていて、どうやって注いだのかしらと不思議に思いました。

本当はひとつひとつの作品とじっくり対面していたいのですけれど、とにかく混雑していて、なかなかゆっくりと見られなくて残念。


それにしても1300年もの長い間、これだけ大きな像をきちんと保存してきたというのは、すごいですね。
地震や火事もあっただろうに。

奈良の都といえば、源氏物語の世界よりもまだ昔のこと。
そのころはどんな時代だったのでしょう。

それに一般の人がこういう仏像を拝める機会はあったのかしら。

奈良時代というとそれに続く平安時代に比べてなんとなくのどかな雰囲気がありますけれど、これだけ大きな仏像を作ってしまう、というのはやはりそれだけ天皇や仏教の力が強かったのでしょうね。
牧歌的な時代というだけではなかったような気がするの。

薬師寺をはじめとする建築物を作るのにもすごいお金と人手が必要だっただろうし、それを実行するには権力の集中があったと思うのよね。

うーん、どんな時代だったのか、興味は尽きないわ。

持統天皇 
「春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山」

8 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

今日が最終日だったのですか。だいぶ話題になっていたので、機会があれば見に行きたいと思っていたのですが。

といっても、去年、おととしと薬師寺には行っているんです。京都に行ったついでというか。でも、「光背」がないと、また違った感じですよね。
ちょっと腰をひねって、色っぽいって言ったら失礼かな。でも、どこかなまめかしい。
奈良から東京まで、出張お疲れさまでした!

おおしまとしこ さんのコメント...

マサさん、去年もおととしも薬師寺に出かけたなんてすごいですね。奈良には何か思い入れがあるのかしら?
たしかに後ろがないと違った感じでしたよ。
それに階段の上のほうから眺めたり、下から眺めたり、いろんな方向から拝ませていただきました。
そう、菩薩は色っぽかったですよ。あれで胸があったら、ミロのビーナスも負けちゃうくらいでしょうね。
これからまた奈良まで戻るのでしょうが、運搬に当る人は大変だろうなと思いますね。

匿名 さんのコメント...

コメント入れようと思っていて時間がたってしまいました。高田好胤、有名になりましたね。(お坊さんらしくない人でしたよね。)
私も奈良に初めての一人旅の時(ずっと昔)薬師寺から唐招提寺まで歩きました。(白州正子の「かくれ里」にもあった道です。)私は聖観音が好きでした。
あと秋篠寺の伎芸天だったかしら・・朝早く行って独り占めしました。
私はモディリアニ展に行きたかったのですが気がついたら最終日でした。(泣)
仕事を休むわけにも行かず、終わったら飛んでいこうと思ったら研究会の見学が長引いた・・

おおしまとしこ さんのコメント...

カンカンもあちこち旅行に行っているのね。
秋篠寺というのは知りませんでした。こんど、7月に奈良に行く予定にしているので、そのときに日光・月光に再会できたらいいなと思っています。
そういえば、カンカンは昔からモディリアニが好きだったでしょ?

「笹の雪」のところを見てみて。あそこで
T高校のクラス会がたしかにあったはずなんだけど、覚えている?
Sさんが幹事だった時だと思うのだけど、粋なところを知っているな、と思ったんだけどな。まだ20代だったかもしれない。

匿名 さんのコメント...

そうずっと好きでした。
昔にも大々的なモディリアニ展があり、いったことがあります。
笹の雪のクラス会はあったのは知っているけど行けませんでした。どうしてかな?
学生時代だったのかすごく若いころですよね。
としちゃんもおいしいところ食べ歩きしていますね。
奈良はいいですよ。すごく。東大寺の二月堂三月堂とか奥の方がよくて。宿(日吉館)から歩いていろんなお寺に行きましたよ新薬師寺とか、白豪寺とか・・志賀直哉邸もありました。
航空地図を持って飛鳥も歩きました。
修学旅行で行った室生寺にも行ったけどバスが少なくて結構大変でした。いろいろ思い出します。計画立てるのが楽しいですよね。
私は一時、湖東のお寺に行ってみたかったことがありました。十一面観音がいくつかあります。

おおしまとしこ さんのコメント...

ふーん、カンカンの文化的教養は素晴らしいわ。私などまるで薄っぺらな人間なんだけど、カンカンは深さが違うわね。

奈良も詳しくてすごいですね。
今回はちょっと時間がないので、あまりいけないかもしれないけれど、このまえ東山魁夷の唐招提寺襖絵を見たでしょ。あれをもう一度見てみたいのよね。
修学旅行で室生寺に行った記憶はあるのだけれど、階段が多いところでしたっけ?
もう○○年も昔のことになりますね~。

匿名 さんのコメント...

としちゃんは海外が長かったから
その間に少しは旅行したかなくらいです。
京都・奈良・信州以外はほとんど行っていません。津和野や萩は行ってみたい感じがします。子供は沖縄に行きたがっています。

唐招提寺お薦めです。大好きな寺です。恐らく襖絵は見られないかも。ふだん公開していないと思う。昔は特別な日に公開していてその時にいったことがあったと思う。鑑真和上像も公開していて・・これは今は未確認情報です。

室生寺高校の修学旅行で一緒のコースで行ったじゃない!遠いから時間がないときは無理ね。土門挙の写真集がありますよね。

おおしまとしこ さんのコメント...

カンカンと室生寺に行ったのは覚えていますよ。でもどういうお寺だったか・・・。遠かったというのも記憶があるんですけどね。

津和野は大昔に行きましたけれど、今も同じかな? 津和野高校の先生のご自宅に泊めてもらったのだけど、その宿舎が広くて家賃が安いというのを覚えているわ。

唐招提寺の襖絵は非公開なのかしらね。薬師寺、唐招提寺、秋篠寺は近いみたいですね。今回はその3箇所にしようかな。
奈良に行く、という話をすると、けっこう何回も行って万葉ファンの人がいるみたいね。

皆さんのご意見をいろいろ参考にさせてもらいますね。