染織の文化史シリーズの2回目の受講メモです。
講師の先生の2時間に渡る長いお話を、要点だけ簡単にまとめてみました。
~染めと織りの起源とその発展についての歴史的考察~
【布の出発点】
猿から人間に進化した過程で体毛がなくなってしまった人間。
その人間にとって、布とは身体保護が主な目的であり、「第二の皮膚」であった。
その後、人間の生活レベルが上がると、単純な平織りから紋織りへと変化していった。
そして衣服へと発展するのだが、色をつけたり、模様をつけたりするようになったのは何故か。
【色の始まり】
大昔、たまたまある人が道で転んでしまい、背中に泥が付着してしまった。
そのせいで、泥のついた部分だけが虫に刺されないようになった。
またその部分だけが他の皮膚と違って見えた。
そういう良いことがあるのなら、身体に泥を塗ることが流行っていった。
つまり泥の付着が色の始まり。
日本語の色についての歴史は、昼と夜(安全と危険)を認識することから始まった。
人間にとって、明るいことと暗いことは生活の上で非常に重要だった。
それでこのような言葉が始まった。
明るいこと→あか→朱(あけ)
暗いこと→くらい→黒土(くり)
また赤は太陽の色でもあり、火の色でもあり、血の色でもあるので、一番先に認識された色である。
【模様の始まり】
それでその後、背中に泥を塗ることが流行った。
しかし、その泥は雨が降るとすぐに流れてしまったので、たびたび塗る必要があった。
そして自然に剥がれ落ちたところは、他の部分と違うように見えたが、これが模様の始まり。
つまり模様というのは、ある形を真似して恣意的に作ったものではなく、全体から自然に抜け落ちた部分ということ。
その後、たまたま身体に傷のある部分に泥を塗ったところ、いつまでも泥は落ちない。
これが刺青の起源だと言われているそうだ。
【染めの始まり】
皮膚に泥を塗っていたこととは別に、布の発達があり、その布にも木の葉などの汁がつくと、染料となった。
これが染めの始まり。
最初は「うこん」と言われている。
【綾織りの始まり】
もともと平織りを織っていた途中に、たまたま失敗をして出来そこなった部分が、光って模様のように見えたのが、綾織りの始まり。
ただし綾織りは絹が生まれてからのものである。
他の麻や綿では、織りそこなっても分からないので、綾織りと認識されなかった。
【まとめ】
常に歴史とは何か、歴史はどのように発展していったか、という視点からのお話だった。
つまり物事の始まりや発展は、ある時期にたまたましくじったり、失敗してある状況が起こり、そのほうが便利で有意義だと気づいた人間が、推し進めて行ったものである。
【私の感想】
物事の始まりや変化って、織や染めの歴史だけではなくて、科学や技術の発展も同じかもしれないわね。
ノーベル賞受賞者の方も、「失敗続きだったが、ある日、急に気づいた」とおっしゃっていることがあるけれど、普通の人はなかなかそれに気づかないで見過ごしてしまっていますよね。
人間の長い間の歴史って、失敗やしくじりに気づいて、それを見過ごさないで対応を考えた人たちのおかげなんでしょうね。
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この日の装い。
この日はかなり暑くて28度くらいあり、夏着物を着たいくらいでした。
でも10月中旬になり、一度しまってしまったものを出すのは抵抗があったので、諦めました。
そして先日、ネットで注文して、色があまりに茶色くてどうしようかと思っていた単衣の紬を着てみました。
(実際はもう少し茶系で、青い織り模様が入っています。)
あまりに地味なので、梅まりさんで買ったレース模様のついたベージュの半襟で少し華やかに。
帯は有楽町の大江戸骨董市で買った更紗模様のような木綿の帯。
これに大須のBERRY工房さんで買った青い飾りつき帯締めをしました。
少しは若々しくなったかしら。
さてこの暑さ、いつまで続くのでしょう。
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