さて「神宮式年遷宮での衣紋と女子の装束」セミナーの第二部のご紹介です。
第一部はこちら▼。
第二部は女性の装束の着付けでした。
まずこちらは「袿袴絡げ(けいこのからげ)」という装束です。
赤い切り袴をはいています。
写真では見えませんが、この袴は足首の少し上くらいの長さでした。
そして足元は真っ赤なハイヒールのような靴でした。
とても可愛らしかったですよ。
髪型は「ときさげ」というスタイルだそうです。
お次は十二単の着付けです。
十二単というのは俗語のような言葉で、本来は五衣(いつつぎぬ)・唐衣(からぎぬ)・裳(も)を総称したものをいいます。
平安時代の女性の装束ですが、現在は宮中儀式(とくに即位の礼、結婚の儀など)でしかお目にかかれませんね。
登場された時にはじめにつけたいた衣装は、小袖と長袴でした。
この衣装は年齢や既婚・未婚によって色が決まっています。
28歳以下または未婚者はこき色(濃い紫)の小袖にこき色の袴ですが、既婚者は白の小袖に緋色(朱色)の袴となります。
その上に単衣+五衣+打衣(うちぎぬ)+表着(うわぎ)+唐衣(ジャケットのようなもの)+裳(スカートのようなもの)を順々につけていきます。
五衣は本当に5枚重なると重くて大変なので、現在では衿・袖・裾の部分だけは5枚重ねですが、その他の部分は1枚だけになっています。
衿のところをきちんと揃えて、きれいに見せるのが難しそうでした。
そして着物の色の組み合わせ方も大切です。
十二単の重さは全部で15キロあるそうです。
これではなかなか歩くこともままなりませんね。
十二単のお姿はよく見かけますが、実は後ろ向きのほうがもっと素敵でした。
裳には美しい文様が描かれていて、左右のサイドにはきれいなチロリアンテープのようなものがついていました。
髪型は大すべらかし。
額のほうが盛り上がっていて、そこに小さな冠(ティアラのようなもの)をつけています。
衣紋者(着つける人)お二人です。
十二単の着付けで面白いのは、腰紐の扱い方でした。
次の着物に腰紐を巻くと、前の着物の腰紐を抜き取ることです。
つまり最終的には、一番外側の着物だけに腰紐が巻いてあるだけで、下のほうには巻いてありません。
このような衣紋(着付け)というのは、普段はあまり公開しないものだそうですが、特別に拝見させていただきました。
ちなみに、私が着物を着るときは、足袋から履いて襦袢、着物、帯と仕上げるまで、だいたい15分くらいです。
それが十二単の場合は、途中から二人がかりでも30分以上かかっていました。
いかに大変な作業であるかが分かりますね。
檜扇です。これは薄い檜の板が39枚と決まっているそうです。
顔を隠すために使うもので、暑いときにパタパタとあおぐものではありません。
雅な世界でした。
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この日の装い。
上品な方がお集まりになる会合のようでしたので、私も少しはお上品な着物にしました。
といっても、いつもの神社の骨董市で購入した紬です。
骨董市のおじさんが、「これは絶対にお客さんに似合うよ」と、他の人には売らないで私のためとっておいてくれた着物です。
たしかに色も薄紫というか藤色で私の好みですし、寸法もドンピシャ。
ところが布が突っ張っているせいか、着ると必要以上に太って見える着物なのです。
とくに胸やお腹のあたりがこんもり。
いやですよね。
寸法が合わなければ諦めてしまうのですが、そういうわけにもいかず、仕方なくたまに着ている着物です。
この日は小雨で15度くらいしかなかったので、絞りの羽織を着て行きました。
こちらはリサイクル着物屋さんで500円。
丈がちょっと短いのですが、許せる範囲かな。
これを韓国に着て行ったら、一見お金持ちに見えたようで、ソウルの町でアナタ、オカネモチ」と言われて困ってしまった羽織です。
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