ちなみに、「更紗(さらさ)」はウィキペディアによると、「インド起源の木綿地の文様染め製品、及び、その影響を受けてアジア、ヨーロッパなどで製作された類似の文様染め製品を指す染織工芸用語。」と書いてありました。それだけだとなんだかよく分かりませんね。
その後に、「更紗には、ジャワ更紗、ペルシャ更紗、シャム更紗など、さまざまな種類があり、何をもって更紗と呼ぶか、定義を確定することは困難である。一般にはインド風の唐草、樹木、人物などの文様を手描きや蝋防染を用いて多色に染めたものをさす」と説明してありました。
この小説を読もうと思ったのは、有吉さんの作品であることが一番でしたが、着物を扱っている小説なので、興味が湧いたのです。
これは有吉佐和子さんが31歳の時の作品です。
夫を5年前に亡くしたが、その後も夫の舅の後ろ盾により、何不自由なく暮らしている未亡人が、更紗を通して成長していくお話です。
彼女は、趣味の更紗のファッションショーを開催します。
お金をかけて開催したので、ショーには多くの著名人が集まり、盛況でした。
しかし、たまたまそのショーを見た新聞記者から、「これは君の道楽か?」と聞かれたことに反発して、本格的な更紗の道へ足を踏み入れます。
そして彼女は更紗を芸術にまで高めていき、独立して歩むようになるというお話です。
その間には新聞記者や、亡き夫の友人である男性二人とも恋愛関係に陥ります。
今から50年以上前の1962年の作品ですが、当時としては時代を先取りしていた小説だったのでしょうね。
ただし女性の自立は描かれていますが、どこへ行くにもタクシーを使ったり、高級ホテルを利用したりというちょっとハイソサエティに生きる女性が主人公であることが、一般からはかけ離れてしまっているようにも感じもしました。
「更紗夫人」には、彼女の作った更紗がものすごくよく似合うという謎の女性が登場します。
その人は、すらりと背が高く、顔は浅黒く引き締まり、光り輝く人のようでした。
きっとエキゾチックな方だったのでしょうね。
実はその謎の女性との絡みが後になって分かってくる、というお楽しみもあるのです。
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「更紗夫人」に刺激されて、先日、私も更紗を着てみました。
ところがどうも似合わないのです。
色が濃すぎるのかな。
実物は写真より赤みがかっています。
去年の世田谷ボロ市で見つけた更紗です。
私は更紗夫人には、なれないようでした。
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