先日、池袋の不思議な本屋さん▼で見つけた本。
三浦しをんさんの本というだけで、あまり中身をよく調べないで買ってしまいました。
目次を見るとなんだか文楽の題名が並べてあるので、文楽の解説書だと思っていたのです。
実は文楽はなんとなく近寄りがたくて、今まで避けていたジャンルなのですが、私の好きな三浦さんが解説してくれるなら、それなら読んでもいいかなと思って買ってみたのです。
表紙からして漫画チックですよね。
ところが中身は全然違ったのです。
文楽には関係していますが、それは小説だったのです。
よく考えれば当たり前のことなのですが・・・。
お話は、高校の修学旅行で人形浄瑠璃に目覚めた健くんが、文楽のパワーに圧倒されて、ついには義太夫の研修所で学び、そして若手義太夫となりました。
その彼が、小学校の課外授業で知り合ったミラちゃん、そして彼女のママと三角関係になってしまいます。
物語には、他には人間国宝の義太夫師匠やその奥さん、謎の三味線弾き、などが登場して、それぞれのお話に義太夫の場面がミックスして語られるという、なんとも面白い構成になっています。
健くんはミラちゃんのママ大好きだけど、それ以上に義太夫が大好き。
芸か、恋愛か?
健くんの悩みはどうなるのでしょう?
そんなお話でした。
そして読者は、物語を追っていくにつれて、義太夫の世界にも引き込まれてしまうのです。
最終章は、先月、浅草公会堂で見た歌舞伎「仮名手本忠臣蔵 勘平腹切りの段」▼だったので、どんなふうに描かれるのか、興味シンシンでした。
本当に面白いお話でした。
私は今まで三浦さんの本と言えば、このようなものしか読んでいませんでした。
「風が強く吹いている」
箱根駅伝にかける若者たちのお話
「まほろ駅前多田便利軒」
便利屋を営む若者たちのお話
「舟を編む」
辞典を作る人たちのお話
三浦さんの小説は、どれも読みやすくて、感情移入がしやすいと言えるでしょう。
読んでいるうちに、主人公たちの姿が浮かび上がってきます。
そして、絶対的な悪者は登場しないのです。
スイスイ読めて、最後には拍手喝采したくなるような小説が多いのではないでしょうか。
ちなみにタイトルの「仏果」とは、修行によって得た成仏という結果。仏の悟り。また極楽往生という仏教用語だそうです。
それを得ないというのは、どういうことなのかしら?
もう少し三浦さんの本と、文楽について読んでいこうと思っています。
4 件のコメント:
今日はちょうど文楽2月公演の1部を観て来ました。
国立劇場横の伝統芸能情報館では「文楽入門」という企画展示(入場無料)がやっていましたが、
それだけ観に行く程ではないかも。
でも人形が間近で見られるのは嬉しいです。
私は有吉佐和子さんが大好きなので、「一の糸」の方がいいかな(笑)
よーでるさんは文楽にお詳しいから、こういう小説を読む必要もないでしょうが、私のようにまるで分からない人間には分かりやすい本でした。
最初のとっかかりとなります。
有吉さんの「一の糸」は知りませんでした。彼女は古典芸能にも詳しくて、すごい人でしたね。
来週、国立で長唄演奏会があるのですが、雨の予報なのでなんだか嫌な感じ。駅からかなり歩くので、降らないでほしいわ。
文楽、まったく詳しくありませんがミーハーなのです。
ミーハーって死語ですか?(笑)
今日は咲寿大夫さんが御簾内だったので、きれいなお顔が拝見出来なくてちょっと残念!!
「健君てこんな感じかなぁ」と想像しながら読んだ、今時のとってもカッコいい太夫さんなんですよ。
よーでるさん、咲寿太夫さんを検索しましたが、すごいイケメンなんですね。おまけにお若いこと!
文楽の世界に、こんなかっこいい人がいるとは知りませんでした。
ミーハーになるのも分かります!
私は、たまに鼓の人でかっこいい人を見かけることがあるのですが、三味線弾きはだいたいばブサイクなんですよ。
この人が出るなら、文楽も見てみたいわ!
コメントを投稿