2018年12月8日土曜日

2018またまた彦根・長浜へ 6 多賀大社

今回、私が彦根・長浜の旅に出かけたのは、諸田玲子さんの「奸婦にあらず」を読んだからです。


この小説は、「安政の大獄」で悪名高い井伊直弼が最も愛した、村山たか女という女性のお話です。
何とも切なく、苦しい思いで胸がいっぱいになる小説で、2回読み直しました。

そしてこの小説に登場するところ、つまりたか女が生まれた場所(多賀大社)、井伊直弼が青年時代を過ごした彦根(埋木舎)、彼が殿さまとして過ごしたお城(彦根城)、二人があいびきをした場所(天寧寺)をどうしても訪れてみたくて、出かけたのでした。

たか女が生まれたのは、彦根から少し離れたところにある多賀大社です。
かずえという別の名前がありますが、多賀大社からとって「たか」と呼ばれていました。


こちらが、彼女の生家と言われているところです。
現在は料理屋さんになっていました。


さて、その多賀大社まで行くためには、彦根から近江鉄道を利用していきます。
ローカル線です。


この電車に乗るには、昔ながらの紙の切符で、そこに車掌さんがスタンプを押してくれました。
往復で620円だったかしら。


こちらの車両に乗りました。
日曜日のためもありましたが、あまり乗客はいませんでした。


のんびりと見える田園風景を眺めて、途中、高石という駅で乗りかえます。
2両しか車両がありませんでしたが、それでもガラガラ。


多賀大社駅に到着。


駅のすぐ近くに多賀大社の鳥居がありました。
ここから歩いて行きました。


途中、奇妙な絵の看板がありました。
何だろう?


どこの家にも「笑門」という札が飾られていました。
お正月だけでなく、1年を通して、このような注連縄を飾る習慣があるのでしょうか。


駅から門前町を10分ほど歩いたでしょうか。
「絵馬通り」という通りでした。

もう一つ鳥居がありました。


多賀大社は、古事記にも登場する古い神社です。
長寿や縁結びのご利益があると言わています。


11月の日曜日だったせいか、七五三のお祝いに来ていた家族がたくさんいました。
ほぼみんな、子供も母親も着物姿だったのには驚きました。

こちらの太鼓橋は、これを渡ると良いことがあるのでしょう。
豊臣秀吉が、母の大政所の病気平癒を祈って寄進した橋と言われています。
子供たちが、橋の上に乗ってはしゃいでいました。
かなり傾斜があったので、私はこけたらまずいとパスしました。


多賀大社の町並みは、古い家が多く、落ち着いた感じでした。


このポスター、いったい、いつのものでしょうか。
昭和の香りがしていました。


木造の家は良いですね。
映画のロケにでも出てくるような家並みでした。


かなり年季が入っている様子でした。


こちらは「ひしや」さんといって、糸切り餅という名物のお店です。
お菓子は、赤と青の線が糸のように入っていて、とてもおいしそうでした。
ところがバラ売りはしていなくて、最低でも10個からしか売ってくれません。
おまけに「本日中に食べること」ということで、いくらなんでも一人で10個も食べられないので、泣く泣く諦めました。


ネットで探したら、出てきました。
こういうお菓子です。


こちらのサイト▼から拝借させていただきました。
ありがとうございます。

たか女の生まれて育った多賀大社の町はひっそりとしていましたが、お正月には多くの人が訪れて賑やかになることでしょうね。

多賀大社の駅前には、こういう大きな岩が並んでいました。
紅白のリボンのようなものが結ばれていました。
「叶多賀門」という門で、願いを描いた絵馬を持って、ここをくぐると、願いが叶うとか。


駅の前に、介護センターのようなところがあり、お茶を自由に飲んで良いとので、しばらくそこで休憩をしました。
というのも、この電車は1時間に1本くらいしか通らないので、乗り過ごしてしまうと大変なのです。
多賀大社はのどかな駅でした。


この電車で彦根まで戻りました。
車両には、自転車がそのまま乗せられるようになっていました。



彦根までは、この電車(途中で乗り換え)で20分くらいかかりました。
およそ6キロか7キロくらいでしょうか。

江戸末期に生きたたか女は、直弼に会うために、彦根までの道を歩いて行ったのでしょうね。

たか女は小説の中では、直弼の動向を探るために、大社から命令されて彼に近づいた隠密のような存在として描かれています。
美人で、体力も知力も、そして男をとりこにする術も持つ女性でした。
ところが、スパイ役として直弼に近づいた彼女も、ミイラ取りがミイラになるように、相手のことを愛してしまい、直弼のほうも6歳年上のこの女性の魅力のとりこになります。

たか女は「桜田門外の変」で直弼が殺された後は、京都の三条河原で、三日三晩、磔になったそうですが、それでも必死に生き抜き、その後、尼になったということです。

私の大好きなこの小説、多くの方に、読んでいただけたらと思います。
幕末の話は、とかく男性中心ですが、女性の目線で描かれたこの歴史小説を手に取っていただくことをおすすめします。

(この項、続きます)

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