2018年12月17日月曜日

最近読んだ本から 2018秋

最近、読んだ本から、順不同に挙げてみました。

朝井まかてさんの「眩 (くらら)」


葛飾北斎の娘・応為の人生を描いた時代小説。
応為の浮世絵を鑑賞したこともあるし、他の人が主人公の小説の中にも登場していたし、テレビドラマでも見たことがありますが、その中で、これは応為を描いた最高の小説だと思いました。
力作です。
応為は家事もせず、普通の女性としては、かなりいい加減な人でしたが、筆を握れば右に出るものがなかった。
そんな彼女の凄惨な人生を描いたものです。
辛かったのだろうなと思うところがありました。
おススメします。

吉村昭さんの「暁の旅人」


幕末の医師・松本良純の生涯の時代小説です。
タイトルが何となく陳腐な感じもしますが、内容は上等です。
吉村さんの作品は以前、「ふぉん・しいほるとの娘 上下」▼を読みましたが、それとほぼ同時代の話です。
この頃のことは、幕府方や薩長の人間のドラマが多かったのですが、その人たち以外、医者や学者なども時代と共に苦悩しながら生きた、というのがよく伝わってきました。

井ノ部康之さんの「千家奔流」


千利休の孫にあたる宗旦という人の小説です。
利休の切腹後は、二代目少庵は蒲生家に預けれれ、小さな孫は小さい時から大徳寺に預けられて修行をしてきました。
しかし彼は年上の坊さんたちに弄ばれて、男色の餌食というあやうい環境にいました。
そんな時、年上の女性に出会い、なさぬ仲になり、なんと15歳で父親となってしまいました。
それでも茶道を求めて修行に励んだのですが、その女性は彼の元から去っていきます。
小説には宗旦以外にも、織部などの著名な茶人や、息子たちも登場して、利休亡き後の千家の苦労が描かれています。
この本は、前に読んだ本書は「千家再興」▼「千家遺偈」▼の間のことを描いたものです。
そして表千家、裏千家、武者小路千家と分かれていくところが描かれています。
「再興」は二代目の少庵が主人公、そして「遺偈」は7代目を描いたものです。
「奔流」では、けっこうどぎついシーンもあるので、ここまで描いて千家の人たちから反発はなかったのだろうかと思いました。

帯津良一さんの「若者がうらやましがる老人になってやろう」


これは図書館でざーっと読んだだけですが、80歳代の外科医の先生が、中高年に向けて「粋な大人になろう」と呼びかけている、シンプルな言葉で書かれた新書です。
年を取ることを恐れずに、嘆くことなく、楽しく大らかに生きようというもの。
「酒も女も楽しもう」ということが書いてあるので、初老の男性を想定して書いたものだと思いますが、女性でも面白く読めましたよ。

それと宮尾登美子さんの「天璋院篤姫 上下」



徳川13代将軍・家定の御台所である天璋院篤姫の生涯を描いた時代小説。
もう3回目くらい読んでいますが、読むたびに面白さが増します。
宮尾さんは、どれだけ精力を使って書かれたことでしょう。

やはり実在の人物を描いた小説は面白いですね。

読書傾向に偏りがありますね。

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