2010年2月13日土曜日

「サヨナライツカ」

映画通のマサさん、ひょっこりさんも見て、そしてたまにしか映画は見ないというさとさんも見たという「サヨナライツカ」。

でも皆さん方の感想がイマイチだったので、私は辻仁成さんの原作を読んでみることにしました。ちょうどブックオフで350円で売っていたので、即購入。そして即読み始め、即読み終わりました。


舞台は1975年のバンコク。
私は昨年バンコクに行きましたけれど、パリあたりがお似合いの辻さんが、今から35年前のバンコクを舞台に選んだというのはどういう理由からだったのかしら。

映画ではヒーローが西島秀俊、ヒロインの小柄だけれど魅力的な女性・沓子が辻仁成の奥さんである中山美穂、そして良妻賢母の妻の光子さんが石田ゆり子という設定らしいわね。

しょっぱなから沓子さんには驚かされるのよ。だって、自分からたった1回会っただけの男性のアパートに突撃して、自分から服をどんどん脱いじゃうのね。それってあり? なんだか娼婦のようですけれど、謎のお金持ちということになっているようね。

それでまだ30歳前後の二人は、結婚式までの間、のべつまくなしに4ヶ月間、SEXにのめりこんじゃうわけ。

二人のベッドシーンって、映画ではどんなふうに描かれていたのかしら?
超高級ホテルの金粉のベッドでの体験なんて、普通じゃできませんよね。


でもね、辻さんという人は女性の描き方がワンパターン、いやツーパターンじゃないのかしらと思ったわ。

沓子さんは「体のどこを押しても、激しく溢れる水脈があった」なんていう書き方をしています。
それにくらべ光子さんは、恥ずかしがりやでそれでいて「奥ゆかしさは旧華族出身の母親譲り」とか。
ちょっとそれはないわよね。

本は2部構成になっていて、最初は1975年のバンコク。
後半は2000年の東京。

またまた彼はバンコクに仕事で行くことになり、そこで偶然にも沓子さんに再開するのよ。
そしてお互いの愛を確認するわけ。

その後、彼は会社の副社長という偉い立場になるのだけれど、沓子さんのほうはがんに侵されていて、もう死にそうなの。彼はどうしても沓子に会いたくて、59歳になったときにまたバンコクまで出かけるの。その時、もう沓子さんは骨と皮になっていたのね。でも二人は「愛している」という言葉を口にしたの。それで沓子さんは亡くなってしまってお話はおしまい。


うーん、偶然が重なりすぎていかにも作り物っぽいわね。

というか、この本、ちょうど辻さんが中山美穂と結婚した頃に書いたそうで、その時から映画化するなら、中山美穂が主人公でと、考えていたのかしら。

テーマにある「あなたは死ぬとき、愛されていたことを思い出しますか、あるいは愛したことを思い出しますか」というの、ちょっと愚問じゃないかしら。
だって愛したから愛されていたのだし、愛されていたから愛していたわけで、どっちがどっちと選べないわよね。
それに「あなたを愛していた」と言うとなんだか押しつけがましくて、言われたほうも困ってしまいそうだわ。

この小説、私にとっては30年前、アフリカの某国で日本人会という組織の中で、あれこれあったことを思い出します。当時の人たちとは、いまだに再会したことはないけれど、楽しいことも嫌なこともたくさんありすぎていて、こんな美しい思い出ばかりではなかったわ。

それにしても去年、バンコクに行ったとき、この本を読んでいたら、オリエンタルホテルまで行っていたのにな、それが残念だわ。

この本で一つだけよかったなと思ったことは、沓子さんが亡くなって、そのあと、回想シーンのように二人の若いころのデートの様子が書かれていたところ。そこは良かったわ。そのあたり、映画ではどんなふうになっているのかしら。