2020年7月21日火曜日

カンナの思い出

私は両親とも東京生まれの東京育ちなので、いわゆる「田舎」というものを知りません。
夏休みなどに、友達がおじいちゃん、おばあちゃんちに行く、というのを羨ましく思っていました。

母はそんな子供を可哀想に思ったのかどうか、自分の女子大(当時は専門学校?)のクラスメイトが三浦半島の久里浜に住んでいたので、夏休みにはよくその友人の家に連れて行ってくれました。
そこは田舎を知らない私にとっては、とても楽しい場所でした。
オレンジ色と緑色の湘南電車に乗って行ったのでしょう。

その家が久里浜のどのあたりにあったのか、まるで覚えていませんが、家から数分歩くと砂山があり、そこを下ると海辺に到着するところでした。

その道の途中に、カンナの花がたくさん咲いていました。


私たちは午前中は海で泳いで、お昼ご飯を食べて、昼寝をして、そして午後にはまた海に行く、という幸せな夏休みを過ごさせてもらっていました。

母の友人という人は、書道の先生をしている人で、独身の方でした。
当時は妙齢の男性は戦争にとられてしまったので、相手が見つからない女性が多かったと聞いています。
その方は、たぶん、高齢のご両親と一緒に住んでいらっしゃったのだろうと思います。

それにしても、いくら女子大の友だちとはいえ、小さな子供連れで泊りにきて、迷惑だったかもしれませんね。
そして私や妹だけではなく、時にはいとこたちも一緒に泊まって遊んでいた記憶があります。
きっと田舎の広い家だったのでしょう。

どんな家だったかは覚えていませんが、和室に大きな蚊帳を吊って、その中でみんなでゴロゴロと寝た思い出があります。
雷が鳴ると、おへそを押さえて、縮こまっていました。

毎日のおやつは、スイカやトマトでした。
たぶん、その家の畑で育てていたのだろうと思います。

ビスケットが好物の「ビス」という名前の犬もいましたね。


そして家の周囲には、真っ赤や黄色のカンナが暑苦しいほど咲いていました。

カンナを見ると、60年ほど前のことを思い出します。


写真のカンナは、どれも今住んでいるところの近くに咲いているカンナです。


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「一日一句」

遠い日を思い出させるカンナかな


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