2021年12月9日木曜日

「源氏物語を楽しむ会」2021年12月(40回目)

私たちの「源氏物語を楽しむ会」も、なんと40回目になりました。

ほそぼそとでも良いですから、長く続けられたら、と思っています。いつも会場を予約されているKさん、どうもありがとうございます。

こちらの絵画は江戸時代に土佐派の画家によって描かれたもの。右の男性は光源氏の長男の夕霧。左の女性は彼の初恋の相手である雲居雁です。

(週刊朝日百科「絵巻で楽しむ源氏物語」より)

この日は、今年最後の集まりだと言うので、Uさんも素敵な着物と帯で参加されました。

落ち着いた紫色の紬のお着物に、辛子色と鮮やかな紫色の絞りの帯でした。お気に入り、ということでしたが、とても素敵。シックな装いですね。


カメラに写すと、色がうまくでなくて残念。本当はもっと素敵な色なのですよ。


さて今回の源氏物語は、光源氏の長男である夕霧くんがメインのお話です。

前回(2021年11月)からの続きになります。

当時の社会は貴族が中心で、彼らが政治の実権を握っていました。そして家柄や婚姻関係が重視されて、有力者の息子であれば、すぐに出世できた社会でした。

今の国会議員も二世、三世議員が多くいますが、千年前の平安時代と同じですね。

そして現在の政治の運営は、実際は官僚が下支えをしているのですが、平安時代も実権を握っている高級貴族と、下働きをする役人の組織になっていました。

光源氏は、自分の息子には最初から権力の中枢になる上級のランクには付けさせず、まず大学で勉強をさせて、試験に合格させるという方針を取ったのです。

この頃の勉強というのは、すべて漢字で書かれた書物を学ぶことでした。

夕霧くんは、大学で学ぶ以前は、亡くなった母親のおばあちゃんにも会うことができたのですが、おばあちゃんは孫に甘いので、父親の光源氏は、会うのは月に3回だけという制限もしてました。

その結果として、勉学に勤しんだのです。

当時は中国の司馬遷が書いた中国の歴史書「史記」がその教材として使われることが多かったのですが、史記というのは、なんと全130巻もあるのだとか。

こちらは日本で1073年に書写された「史記」です。文字数は52万字だとか!

書き写すのもさぞ、大変だったことでしょう。

夕霧くんはその史記を4,5ヶ月ほどで学んでしまった、というのですから、きっと勉強漬けの毎日だったのでしょうね。

そしてみごと試験に合格したのでした。

ということで、この日の源氏物語には色恋沙汰はまるでなく、女性も登場しませんでした。

源氏物語と言うと、恋愛話ばかりだと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、それだけでなく、当時の宮廷の政治力学なども語られているのです。

作者の紫式部は、天皇や権力者に近い場所にいたわけですが、そのような立場にいたの女性でも、当時の社会をきちんと冷静に眺める目を持っていたのでしょうね。そこまで書けるというのは、優れた作家なのだろうと思います。

今回は、林望さんの「謹訳 源氏物語」を参考にしましたが、すっきりとした訳で、難しい用語の説明もわかり易くて、読みやすいものでした。

色々な人の訳を読み比べてみるのも、面白いですよ。

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この日の装い。

お天気が下り坂だというので、濡れても大丈夫なように木綿の着物にしました。


帯はポリエステルです。白×黒の市松模様ですが、裏地が鮮やかな水色なのが気にいっています。

全体を落ち着いたトーンにして、帯揚げ、帯締めだけを派手にしてみました。


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「一日一句」

暖冬や 光たずねて 集会所


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