2023年1月20日金曜日

【ニケ領用水8】ダブルToshikoが行く 1 「久地円筒分水」

非常に珍しい水の施設を見てきました。

それは「久地円筒分水(くじえんとうぶんすい)」です。

「久地」は川崎市多摩区久地を示し、南武線久地駅から少し歩いたところにある地名です。

「円筒」は文字通り、丸い筒のような形のことです。

そして「分水」というのは、ここに集まった水を分割するという意味です。

こちらの写真を見て、どうしてもこの目で見たいと思ったのです。

私の二ヶ領用水を巡るミニ旅の中で、一番行ってみたいところでした。

ただし駅からは少し遠いので、一人で行くのはちょっと不安でしたが、私と同じ名前のToshikoさんがご一緒してくださるとのことで、安心して出かけることにしました。

ということで、宿河原駅で落ち合ってスタートしました。

途中の経路はちょっと端折って、またのブログにします。今回は二ヶ領用水の久地橋を過ぎたあたりからの報告です。


このあたりの二ヶ領用水は、川幅がとても広くて、周囲には三菱自動車や〇〇産業、〇〇工業などの工場が立ち並んでいるところでした。

近くには「久地の里公園」があり、その中には水災害に対応する施設がありました。

そこを少し過ぎると、二ヶ領用水の堰がありました。


それほど大規模ではありませんが、水量がすごかったですね。爆音が響いていました。

それも間近で見ることができたので、感激でした。

堰の上には、作業のための橋のようなものがありました。この上に登ってみたかったのですが、さすがに部外者はだめですよね。


そのすぐ近くに、平瀬川という多摩川の支流が流れ込んでいます。


そこに「新平瀬橋」という橋がかかっていましたが、2つの川に架かっているので、形がちょっと複雑です。


橋の下を眺めると、川の端の方には川底にでこぼこがありませんでした。Toshikoさんに言わせると、これは魚がスイスイと泳げるようにしておくためだとか。


そしてそこから数メートル離れたところに、「久地円筒分水」が見えてきました。


わー、これを見たかったのです。

説明の掲示板がありました。


ちょうどボランティアガイドによるツアーの一行がいて、参加者のみなさんはゼッケンを付けて、ガイドさんの説明を聞いていました。

掲示板の説明によると、二ヶ領用水の水は平瀬川の下を潜り、サイホンの原理を利用して水が湧き上がり、それを円周の割合に比例させて、4つの用水堀に分けられているのです。

このあたりではかつては久地堀、六ヶ村堀、川崎堀、根方堀という4つの堀があり、久地で分水をしていましたが、正確に分水することができませんでした。そのため、水量をめぐる水争いが絶えず、長いこと、水のぶんどり合戦があったそうです。その争いを鎮めるためにこの施設を作ることにしたわけです。

明治の末期から測量などを始めて、完成したのは昭和16年(1941年)とのこと。一大事業だったのでしょうね。


この方式が成功したので、その後は全国の各地でこのような分水がされたそうです。

久地円筒分水はフェンスに囲まれているので、写真がうまく撮れません。


こちらはフェンスの隙間から写してみました。
写真だとその規模が分かりませんが、かなり大きくて、直径16メートル、円筒外周部は約50メートルだそうです。
その周囲を各水路の灌漑面積に応じた比率で分けたそうです。

円筒分水を背景にして、Toshikoさんに写してもらいました。


周囲には水仙の花が咲いていました。


近くには、この分水の案内があちこちにありました。桜の季節に訪ねるのもよいかもしれませんね。

この円筒分水を過ぎると、それまで太くて立派な川のようだった二ヶ領用水が、ささやかな小川のように変化していました。さすがに4分割の成果ですね。

ここは久地から歩いていくと少し距離がありますが、川崎バスの停留所も近くにあるので、足に不安がある時はバスの利用が良いでしょう。

今回のブログは、久地円筒分水のお話だけにしておきます。

大まかなルートです。

Toshikoさん、同行していただいて、どうもありがとうございました。

一人だけでは1万歩も歩けなかったと思います。

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「一日一句」

大寒や 水を分け合う 円周比


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