<初めてのタイ>は今日はお休みしますけれど、また、すぐに復帰しますね。
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映画は、見る人の人生や想いにより、いろんなふうに見えると思うのだけれど、今回見た山崎豊子原作の「沈まぬ太陽」はまさにそんな映画だと感じました。
この映画の主人公が海外勤務をしていた今から30年前の1979年から3年間、私は主人公と同じようにアフリカに滞在していました。
そして帰国後、ある事情によりカナダに住むことになり、そしてまた日本に帰国して、あの御巣鷹山の事故があった1985年の夏、私は娘を出産しました。
その頃、うちにはTVを買うお金がなくて、世の中の動きもよく分からなかったのですが、たまたま8月12日は、娘の一カ月検診のために実家に行っていて、そこでこの事故のニュースをTVで見たのでした。
あの頃、ちょうど映画の主人公がアフリカから戻り御巣鷹山の事故で「ご遺族係」となったあの時代は、私にとっても激動の時代でした。
「沈まぬ太陽」のそれぞれのシーンを見ながら、自分の人生を重ねないわけにはいきませんでした。
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さて、主人公にとっては、ケニアのナイロビ転勤は左遷だと感じられたのですが、そうであるとしたら、そのナイロビに行き、大根や白菜を食べることが最大の夢であると思うような、そんな地に住んでいた人間はいったいどんな存在なのでしょう?
うちの場合は、会社の命令でアフリカに行かされたわけではないので、左遷という言葉は当てはならないのですが、当時アフリカでお付き合いをしていた日本人村の多くの商社やメーカーの人たちは、やはり「飛ばされた」という意識を持って人が多くいたのは事実です。会社の出世コースからは落ちこぼれてしまったという感じの人も多くいました。
主人公はナイロビやカラチという、航空会社にとってはへき地ばかりを9年も続けて勤務したわけですけれど、私がアフリカにいたとき、ある商社の15歳になる中学3年のお嬢さんは、一度も日本で住んだこともなく、ましてや日本で教育を受けたこともありませんでした。
彼女にとって、日本というのは絵葉書に見るように、富士山の前に舞妓さんが立っているようなところなのでした。彼女たちは商社勤務のお父さんに連れられて、長い間世界のあちこちに住み続けているのでした。
世間では「海外勤務」というと、何か華やかなムードがあり、羨望のまなざしで見られることもあるようですが、実際は、日本人の顔をしていても、日本のことは何も知らない中途半端な人間に出来上がってしまったような少年少女たちなのでした。
この3時間20分という長い映画を見ながら、私はストーリーそのものよりも、そんな昔のことを思い出しながら見ていました。
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映画の最後にシーンは、アフリカの草原に太陽が輝いているシーンでした。しかし、アフリカの大地というのがそれほど希望のある素晴らしいものとは、私自身は考えられません。もちろんサバンナを駆け抜けるシマウマやライオンの姿は素晴らしいものですが、毎日、ずっと動物を見て生活するものありません。
動物ツアーは観光には最適ですが、普段の生活とはまるで無縁のものです。
そのようなシーンを何かの象徴として映画のラストシーンに使ったのは、ちょっと考えが甘いのではないかとも思いました。
もし私が男性であり、企業の中でいわれのない中傷や嫌がらせを受けた体験の持ち主なら、この映画もまた違った見方になったことでしょう。
私にはJALで「ご遺族様係」をしていた親戚のおじもいました。もしそのおじがこの映画を見たら、どんな反応を示したでしょうか?
映画として見ると、ここには主演級の俳優をたくさん使い、そいて飽きさせずにぐんぐんと引っ張っていった脚本や演出はさすがです。
ただしこういう長編大河ドラマを見るとき、納得いかないことがあります。
それは、男優は老けていくのに、どうして女優さんはいつまでたってもきれいきれいなままなのでしょう。
鈴木京香にしろ、松雪泰子にしろ、きれいなまま。
この前見た「サガン」や「本を読む人」に出演した女優さんを見て下さい。
シミやしわのある顔をそのままさらし、前かがみになっ猫背で歩く。
そういうことを厭わずにできる女優さんは日本映画界にはいないのでしょうか。
男優たちが頑張っているのに反して、きれいなままの女優さんはちょっと残念でした。
それでも悲しみのあまりアル中になってしまった木村多江さんや、大阪弁でまくしたてる遺族のおばちゃんたちの存在は良かったと思います。
この映画の発端はもう今から40年ほど前の話でした。
それでも21世紀になった現代でも、企業という組織のあちこちでは、これと同じようなひどいことが行われているのでしょうか?
幸か不幸か、私にはそういう社会体験がありません。
映画の中で、かつての盟友だった三浦友和が、渡辺謙の娘の縁談を邪魔することもできるということもしゃべっていました。
そんな卑怯なことっていまだにあるのでしょうか?
私は世間知らずなのかもしれませんね。
この映画を見て、もう一度、原作を読み返してみようかと思いました。
6 件のコメント:
これは、原作を読んだ方がいいかも知れませんね。
原作を読んで、映画を観て素晴らしいと思ったことは、ほとんどありません。
思い入れもあるのでしょうけれど。。。
アフリカと言えば、友達が結婚式をしたので、その録画を観たくらいしか知りません。
あとは、戦争映画。
ドンパチのイメージが強いので、行ってみたいと云う発想がありません。
アフリカと言っても、広いですから、一様には言えないのでしょうけれどね。
カラフルな鳥には、ちょっと会ってみたいですけれどw
史子さん、私も原作を上回る映像というのはほとんどないと思います。ですからこれも原作を読むのをお勧めしますよ。
アフリカは広大な地域です。北から南まではたぶん10時間くらいかかるのではないかしら?
砂漠もあるし、ジャングルも都会もあります。一口ではいえないところでしょうね。
主人公の恩地のモデルは、元日航労組委員長のO倉K太郎さん、らしいですね。お友だちでもなんでもないけど(笑)
信念を貫き通した恩地は映画では素晴らしい人間に描かれていますが、見る角度を変えたらどうなんでしょう。
行天は悪の塊みたいですが、イヤな役割でも誰かがやらなくちゃいけないこともやってると思う。事故現場近くで棺を用意させるとかね。過激な組合を弱体化させたことも、必要悪だったかもしれない。
ホント日本の女優は、女優魂に欠けていると思う。シワもシミも老いも、役に合わせて隠さず見せなきゃ、真の女優とはいえないわ。
マサさん、この映画はフィクションとはいえ、登場人物にはほとんどモデルがいたそうですね。
恩地があれだけ嫌がらせを受けながら、同じ会社にとどまったのはどうしてなんでしょうね。今の若者ならきっとすぐに会社を辞めてしまったでしょう。やはりJALの知名度やほぼ国立会社であったこと、それに高い給料、家族がいたことなどの理由で簡単に辞めることは考えなかったのでしょうね。
女優さん、きれいすぎますよね。私は鈴木京香も松雪泰子も好きだけれど、もっとちゃんと老けてほしかったわ。
男優たちの若いころの姿、なんだかおかしかったな。若い俳優が老け役をするのはいいけれど、60歳近い三浦友和が30歳くらいの役をするのは厳しいわね。
私もこの映画は見に行こう。
ラジオでの情報ですが飛行機はCGらしいですね。
皆さんのお話を頭の中に入れてみたいと思います(笑)
としちゃんのその当時は激動の時代だったのね。事件や映像など色んなことを色々と思いだしますね。
私は九ちゃんがこの事故で亡くなったことを思い出しました。
さとさん、へー、あの飛行機はCGなんですか。どうやって借用したのかと考えていたんですけれどね。サクラのマークがばっちり入っていたので、大がかりだなと思っていましたが。
そうそう、あの事故で九ちゃんが亡くなったのですよね。飛行機事故は二度と起こしてほしくないですね。
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