先日、夏の着物を洗いに出すために、ある着物屋さんに出向きました。
用事は終わったのですが、若い男の店員さんが「是非、見ていただきたい反物があるので、ちょっとお待ちください」と言って、奥に引っ込みました。
しばらくして反物を手にして、表れました。
そして、「これはなんとかのなんとか・・・・の特別な大島紬なんです」と言って広げたのは、亡くなった父が着ていた丹前のような金茶色の反物でした。
こんな感じの細かい模様のものでした。
(これはあくまで例です)
思わず、「えー、これを私に勧めるんですか」と言ってしまいましたよ。
たしかに技法は手の込んだもののようですし、ちらりと見えたお値段もウン十万円。
しかし、それはどうみても80歳くらいのおばあさんが着るものでした。
私もそのくらいの年齢に思われたのかしら。
でも、なんで高いお金を出してまで、こんな地味でくすんだ色の大島を着なければならないの。
これでは着ていても楽しくなりません!
あまりに私が気に入らない顔をしていたのでしょう、店員さんは、
「それなら、今度はお気に入りの物を持ってきます」と言って、また奥に引っ込みました。
そして数分して、5つほど反物を持ってきて、
「これはどこそこでしかできない〇〇織です。」
「これは○○で有名な○○です。」
「これは○○先生のなんとか染めです。」とか説明するのですが、はっきり言って、一つとして私の好みの反物はありませんでした。
その前に、「私はろうけつ染めや更紗はあまり似合わない」と話していたのに、持ってきたのはくすんだ色のパッチワークのようなものや、沖縄風のものばかり。
そういうのは、私の趣味ではないのです。
どうして、着物屋さんというのは、人の趣味に合わないものばかり薦めるのでしょうか。
それも私が黒い洋服姿でお店に行ったというなら、まだ考える余地もあります。
ところがこの日は、私はこういうふだん着ぽいカジュアルな着物で出かけたんですよ。
帯も明るい感じでしょう?
どんな着物を着てるかを見れば、少しは私の好みも分かるのではないでしょうか。
私は派手好みではありませんし、大柄模様も似合いません。
とはいえ、単に地味なものが好きというのではないのです。
あくまでもすっきりとしていて、そして着ると嬉しくなり、自然に笑顔になるようなものが好き。
値段に関係はありません。
呉服屋さんよ、高い反物を売ればいいというものではありませんよ。
全然、分かっていないな、と思いました。
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