2019年9月18日水曜日

謡音読会@九段下 2019年9月「松風」

謡音読会は、しばらく欠席してしまいました。
三味線の合同稽古と重なったり、お茶会に参加したりしたためです。
それで久しぶりに参加しましたが、やはり声を出して読むのは気持ちがよいですね。


今回は「松風」でした。
これは、「熊野 松風 米の粒」
と称されるように、飽きのこない味わい深い能だと言われています。
「秋の能」の代表作だそうです。


物語はとてもシンプルです。
須磨に旅した僧が宿がなくて、二人の女性に旅の宿を頼みます。
するとその二人は、実は在原行平の恋人だった「松風」と「村雨」の二人の霊だったというお話です。

シテは海女、実は松風の霊です。
ワキは在原行平。
ツレは松風の妹である村雨です。

イケメンで有名な在原業平の兄である在原行平と、須磨の海人女・松風と村雨姉妹の、はかなく清らかな恋を描いた能です。

須磨といえば、源氏物語のお話でも有名ですね。
光源氏が都から離れた先が須磨です。

平安時代の須磨はとても侘しいところだったと思われます。

今では神戸市の一部に入っています。


在原行平の歌は、百人一首にも入っています。
「立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む」です。
「待つ」と「待つ」が掛け言葉になっています。

「あなたと別れて(因幡の国へ)行くけれども、稲葉の山の峰に生えている松のように、あなたが待っていると聞いたなら、すぐにも都に帰ってまいりましょう。」という意味です。

この場合のいなばの山、というのは中国地方にある247メートルの稲葉山だそうです。

源氏物語の「須磨」の巻は、この行平の話がモデルになったのでは、とも言われています。

古典を学んでいると、能と源氏物語が深い関係にあるのが分かりますね。

ちょっと疑問に思ったのは、お姉さんの「松風」のほうは、行平のことをとても思っているようですが、妹の「村雨」は割とあっさりとしているように感じました。

ちょっと長めの謡でした。

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この日の装い。

まだまだ暑い日でしたので、麻の着物です。


これは叔母が着ていたモノ。
寸法がドンピシャなので、直さずに着られます。


帯は、何年か前、京都の錦市場で見つけた麻の帯。
どういうわけか、食べ物屋さんが並ぶ場所に、着物や帯を売っている一角があったのです。
千円でしたので、京都土産に買って来たものです。

4 件のコメント:

カンカン さんのコメント...

謡を習ったら、能への理解が深まっていいですね。今度松風の見に聞く機会に
恵まれました。内容について少し把握できたので助かりました。

カンカン さんのコメント...

すみません。上のコメントミスタッチで変ですね。
この前文楽を初めて見に行きましたが、三味線の音がすばらしくて
驚きました。昔お年寄りから邦楽を聞きにいったらと言われて
あずま踊りの舞台を見た時にその華やかなお正月っぽい響きが
苦手に思いましたが、三味線もいろいろありますね。

おおしまとしこ さんのコメント...

カンカン、「松風」をご覧になるのですね。
何回見ても、飽きない能だと言われていますね。
割と長めのものでした。
楽しんで来てくださいね。

おおしまとしこ さんのコメント...

今度は文楽ですか。和の世界に足を入れ始めましたね(笑)。
文楽の三味線は太棹といって、長唄などに比べると、とても大きくて、重いのです。
撥も大きいですから、私のようにての小さいものは、なかなか弾けませんね。
ドーンとお腹に来るような音がしますね。