2018年3月6日火曜日

10年前のブログ ~「光る源氏のお話」

このブログは2007年から書き始めているのですが、「下書き」になっている記事がいくつかあります。
後で書き足そうと思って、そのまま忘れてしまっていることも結構あるのです。
特に読書感想については、「もう一度読んでからちゃんと書こう」と思っていて、そのままにしているものが、かなりあります。

以下のブログは2008年に書いたものですが、陽の目を見ないままになっていました。
今さら、という気もしますが、今では「源氏物語を原文で読む会」▼という読書会にも参加させていただいているので、ちょっと思い出して、載せてみました。

ちなみに2008年は「源氏物語千年記念」の年で、私もこの年は源氏物語にはまっていたのでした。

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あじさいの花が少しずつ色づいてきた。
面白いことに、花の周りから色がついてくるようだ。


このところずっと、暇さえあれば、源氏物語関係の本を読んでいる。
俵万智、田辺聖子、渡辺淳一、瀬戸内晴美、橋本治・・・。
前にも書いたけれど、今年は源氏物語が書かれてちょうど千年だそうだ。
当時とは住まいも食事も服装もまるで現代とは違っている。
それでも人間の、とくに男女の関係は、平安の昔も、平成となった今もそれほど変わらないのだろう。
というよりも、当時の人たちとまるで同じ悩みを共有し、同じ悲しみを味わい、同じ喜びを感じているとしか思えないほど、千年前の物語は共通することが多い。


源氏物語に書かれた数々の恋物語から、きらびやかな王朝生活の裏側を知る。
そして今も昔も変わらない女心、嫉妬、などを知る。
こういう文化が、日本にずっと続いていることの素晴らしさに気づかないといけないね。


源氏物語にはいろいろな運命の女性が登場する。

光源氏の正妻であった葵の上は、子供を生んだ後に怨霊にたたられて死んでしまう。
最愛の紫の上には子どもが恵まれない。
後には、本妻が生んだ息子と、光源氏が中年になってから結婚した正妻が密通して子どもが生まれてしまい、その子を自分の息子として育てなければならない立場になってしまう。
明石の上は、生んだ子供を自分では育てられずに、紫の上に育ててもらう。
ごく親しくしていた女性だけでも、こんなにいろんなパターンが用意されているのだ。

その他、数々の愛人も、高貴な方、天皇のお后様、伊勢神宮の巫女のような立場の女性、ものすごく不細工で知識にも欠ける女性、60近いおばさん、人妻、若い子・・・・ありとあらゆるパターンが揃っている。
それぞれの女性が病気で亡くなってしまったり、出家してしまったり、現代の判断からすると、あまり幸せが長く続かないことが多い。

それでも彼女達は源氏の訪れを今か今かと待ち続け、訪れがあった翌日には見事な短歌を送っている。
そしてまた多数の女性と張り合いつつ、自分が一番愛されているときを大切に思い続けている。


待っているだけの人生は辛いだろうな、と思わずにはいられない。
それでも夫の目を気にしながら、お付きの人を気にしながら、源氏に愛されたいと願っているのだ。

ストーリーはこみ入っていて、光源氏の同時間帯に発生している恋愛が綴られている。
そんな物語を、紫式部という人妻が千年前に書いたのだ。

当時は印刷技術もなかったし、コピーなんてあるわけもない。
だから紫式部さんが書いた原稿(?)を誰かが写して、それを廻し読みしたのだろう。
新しい章ができたときには、きっと我先にそのストーリーを読みたがっただろう。

私は高校の授業で古典の時間に初めて接してから、何回か読み直してきているけれど、自分が年をとればとるほど、物語が面白く感じられる。


来月は、また京都へ出かけて、源氏物語関係のものを展示してある博物館などに出かける予定にしている。

もちろん、平安時代には、すべての人が源氏のような優雅な生活をしていたわけではないし、貴族なんてほんの一握りの存在であったに違いない。
それでもそういった人たちの人間関係を知ることができるのは、本当に幸せなことだと思う。

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ここまで。

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