今年になって初めて、「源氏物語を楽しむ会」の集まりをしました。
すごく寒い日で、なんと大雪注意報が出たほどでした。
といっても、東京では雨になり、雪は降りませんでしたが。
でも会場までの電車が大幅に遅れてしまいました。
雨にむせぶ世田谷区の会場です。
のんびりと始めたこの会ですが、今回で源氏物語の「澪標(みおつくし)」の巻を終えることになりました。
主人公の光源氏が須磨から都に戻り、これまで長年つき合ってきた六条御息所が伊勢から戻ってきて、一人娘の将来を光源氏に託す場面でした。
光源氏は、年上の御息所とはなんだか息詰まるような関係を続けていましたが、御息所の娘の方にも気があるのでした。
そんな男に対して、御息所は「彼女には決して手を出さないで」ときつく言いつつ、あえなく亡くなってしまいます。
彼女は、まだ30代のはずです。
母親と娘の両方つき合いたいというのは、ちょっと虫が良すぎますね。
また光源氏の義母にあたる藤壺も登場しますが、尼になってからはすっかり男女の関係を断ち、彼女は今や可愛い息子(天皇)を守るために、光源氏とは政治的駆け引きをするような関係になっています。
「母は強し」なのでしょうか。
私たちの会では、分からない単語があれば、図解入りの事典で調べるようにしています。
今回は「大殿油(おおとのあぶら)」のことについて、調べました。
当時の照明の一つです。
こんなふうにいろんな形があるようです。
源氏物語で使っていたのは、右の高灯台のような形のあかりかもしれません。
そして雑談として、このあかりの灯芯は、「あし」や「い」で作られた細長い状態の布に、油を染み込ませて使っていたということが分かりました。
「あし」は水辺に生える植物で、ススキのようなものです。
「い」はイグサ科の植物で、湿地に生えています。茎は畳表・花むしろ・細工物の原料になります。髄が芯になりました。
そのようなあかりを使っていたので、当時の貴族の生活は、夜はかなり暗かったのだろうと想像できますね。
それだからこそ、御簾ごしにちらりと見える女性の姿に、恋愛感情を持つようになるのかもしれませんね。
そして、この「あし」は、現在、着物の下に着用する汗取りの「あしべ」と関係があるのではないか、という話になりました。
平安時代のあかりの原料が、今は(昭和初期に作られたそうです)衣料として使われているのではないか、と想像すると、面白いですね。
今回で「澪標」の巻は終了して、次回からは「蓬生(よもぎふ)」の巻になります。
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この日は、大雨でしたので、着物は止めてジーンズに分厚いコートで出かけました。
それでも寒かったので、お昼は駅近くにあるお蕎麦屋さんへ行って、鍋焼きうどんを注文しました。
出てくるまで少し時間がかかりましたが、特大の鍋がドーンと運ばれてきました。
うちでは二人用に使っている鍋のサイズでした。
蓋を開けてみると、エビの天ぷら、なると、かまぼこ、伊達巻、わかめ、ゆで卵、麩などがぎっしりと乗っていました。
身体が温まりました。
このお店はかなり古めかしい大衆食堂で、昭和のムードが漂っていました。
それでもメニューの数がとても多くて、壁にずらりと張り出されていました。
洒落たカフェも良いですけど、たまにはこういうお店に入るのも面白いものだと思いました。
源氏物語の世界とは、かけ離れていますけどね。
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