また市民カレッジの開講時期がやってきました。
これは市の文化財団が主催しているもので、講師は大学の教授、美術館の学芸員、音楽家、市内で活躍されている市民講師だったりとさまざまですが、格安のお値段でかなり専門的分野の学習ができるのが嬉しい催しです。
これまで何回も参加していますが、意識の中では、高い市民税を取り戻そうという思惑もありますが、市民にお勉強の機会を与えていただけるのは恵まれていますね。
ただし講座内容によっては、応募倍率が相当高いようなので、抽選に当たらないと受講できないのが難なのですが。
今回抽選に当たったのは、「日本絵画名品くらべ」というタイトルで、毎回2点の日本画を紹介していただきながら、その特徴や歴史的背景も教えていただけるという、お得な講座です。
日本画好き、歴史に興味のある人には見逃すわけには、いきませんね。
講師は出光美術館▼で学芸員を35年されているという黒田泰三さん。
57歳くらいの方で、ちょっととぼけた語り口がお人柄を表していらっしゃるような方でした。
黒田さんは、有名な作品よりも、地味で目立たないけれど、よく味わうと面白いという作品がお好みのようです。
なかなかご自分の趣味と、美術館の興行成績とが合致しないので、会社には損をさせているということで、苦笑を誘っていました。
専門は平安時代の絵巻や長谷川等伯とのこと。
「美について関わっていられること」がご自分の喜びだとおっしゃっていましたが、素敵な言葉ですね。
この講座は人気があるのでしょう、教室は45名ほどの参加者でぎっしり満員でした。
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先生からいただいた膨大な資料。
簡単に覚え書きを書き留めておきます。
まずは「絵巻」全体について、種類別、時代別に分類して教えていただきました。
絵巻はもともとは中国から伝来したものだそうです。
中国では記録的な要素が強かったそうですが、日本に入ると、「物語」の内容を表わすものに変わりました。物語を区切って、それを絵にしたわけですね。
やはり平安時代の宮廷絵師によって描かれた絵巻が、一番充実しているとのことでした。
ちなみに「日本四大絵巻」とは「源氏物語絵巻」「信貴山縁起絵巻」「吉備大臣入唐絵巻」「鳥獣人物戯画絵巻」だそうです。
鎌倉時代になると、絵巻は合戦モノが多くなり、その後、南北朝や室町時代になるとおとぎ草子のように庶民的なものが増えていき、技術的には段々すたれていったという説明でした。
今回の2作品のうち、最初は「伴大納言絵巻」のお話でした。
(画像はウィキペディアから拝借しました)
これは、平安時代前期に実際にあった政治事件「応天門の変」を元にした絵巻ですが、この事件は放火事件ともいうべきもの。
今の日本に例えると、官房長官が警視庁のある桜田門を爆破する次元と同様の大事件だったそうです。
その絵巻に描かれた450人の人の顔がすごかったですね。
直径1センチくらいの大きさなのですが、驚いた顔、笑った顔、とぼけた顔などが、たーくさんあって、「ウォーリーを探せ」のような楽しみもありました。
「吉備大臣入唐絵巻」ですが、こちらは昨年のボストン美術館展覧会▼でも見ましたが、お話が荒唐無稽で面白いですよね。とくに下剤を飲ませてその排泄物から碁石を探す、なんて笑ってしまうほどです。
この2つの絵巻は、常磐源二光長(ときわげんじみつなが)という人の作品ではないか、というのが今の説だそうです。
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市民カレッジに参加するときは、よほどの大雨でない限り、毎回、着物で行っています。
今回はちょうど若葉の季節だったので、青紅葉の小紋。
今の時期でないと着られない模様ですね。
西荻窪の赤い鳥居の近くにある「グレープ」というリサイクルきもの屋さんで見つけたもの。
お店の外に置いてあるワゴンセールで1000円でした。
汚れもあまりなく、どうして1000円なのか謎でした。
ちょっと後ろの幅が広いのですが、まぁ、いいかというのでそのまま着てしまっています。
生成り色の帯は、うたどんさんからのいただき物。
芯なしなので、気楽に締められます。
丸い実のようなピンクの小花が気に入っています。
昭和っぽい雰囲気かな。
でも着ている人間が、昭和人間なので、ちょうど良いかも。
次回の講義は5月、「四季花鳥図屏風」というタイトルです。
どんな着物で参加しようかと考えるのも、楽しみのひとつです。
(といっても私は鳥が苦手なので、花だけにしておくつもり・・・)
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