このところ、コロナウィルス感染防止のため、大小さまざまなイベントが中止になっています。
それでも市区町村の施設は、まだまだ部屋の貸し出しはOKなので助かります。
ということで、今月の「源氏物語を楽しむ会」も、いつも通り世田谷区の集会所で開催することができました。
最近の天候は、良く晴れた日、寒い日、強風の日など、目まぐるしく変化していますが、この日はしょぼしょぼとした雨降りの日でした。
それでも寒さは感じなかったので助かりました。
私たちの会は「源氏物語」を原文で読むのがメインですが、おしゃべりも欠かせません。
ちょっとしたお菓子をつまみながら、世情などについて自由におしゃべりしています。
暗い話題が多いこのご時世ですが、何気ないおしゃべりも必要です。
この日は、会場のある駅で、ある俳優さんに出会ったという話が出ました。
ところが、どうしてもその人の名前が出てこない。
あー、もどかしい!
みんな分かっているのにね。
そんな世代の私たちです。
さて「源氏物語」ですが、前回の続きで「蓬生」の巻です。
ここは前回も書きました▼が、とにかく文章が読みづらい。
私の古文レベルが低いせいもありますが、何を言いたいのかよく分からない文章が続き、読むのもつっかえつっかえです。
「蓬生」の巻の中心人物である末摘花ですが、紫式部は書きたい放題でした。
「横顔などは、当たり前の人では、我慢のできる御容貌ではない」(現代語訳)とまで書いていましたよ。ちょっとひどすぎませんか。
末摘花には優れたところは何もないようですが、それでも黒髪だけは自慢でした。
それまでお仕えしていた侍従が別れるとき、長年の慰労のため、ご自分の抜け落ちた髪の毛をプレゼントしたのですが、なんとその長さが9尺もあったとか。
9尺といえば、2メートル70センチですよ。
昔の女性は、髪の毛は長ければ長いだけ、美人度がアップしましたが、ちょっとありえませんね。
彼女はその髪の毛を美しい箱に入れて、そして「薫衣香(くのえこう)」というのを添えて侍従に渡しました。
ここで「薫衣香」について簡単に説明しておくと、平安時代のころは、高貴な人といえども入浴などは今のようにはしていなかったので、臭いは結構あったと思われます。
それで自分に合った香りを調合して、それを衣服にたきしみ込ませるということをしていました。
このことについては、かつて私が2008年に受講した香道のセミナー▼があるので、その写真を添付してみます。
また、たまたま「図書」という岩波書店から出している小冊子に、橋本麻里さんの香りについてのエッセイが載っていました。
それによると、平安時代の香りは、香りの原料を砕いて、蜜や梅肉で練って丸薬状にしたものだったそうです。
今でいう「練り香」のようなものでしょうか。
そしてその人独自に調合されるのですが、「梅枝」の巻では、それぞれの登場人物の香りが紹介されています。
たとえば光源氏は、「すぐれてなまめかしうなつかしき香なり」
紫の上は、「はなやかに今めかしう、すこしはやき心しろひを添えてめづらしき薫り加われたり」などと書かれていました。
会の参加者の方はさすがにみなさん、香道を体験されていましたが、香りを当てるのはなかなか難しい、というのがみんなの一致した意見でした。
京都には山田松(やまだまつ)香木店▼というのがあり、香りの体験もできるそうです。
光源氏や紫の上の香りをかいでみられたら、嬉しいですね。
香りのことについてちょっと長くなってしまいましたが、今回のお勉強コーナーは、当時の官位についてでした。
というのも、末摘花の叔母である人が、ご主人が「大弐(だいに)」になって赴任するという場面があったので、官位について、いつもの事典で調べてみました。
「大弐」というのは、律令制で、大宰府の次官(すけ)のうち、最上位のものをさします。つまり叔母夫妻は、九州の博多に引っ越すことになった訳ですね。
大宰府の一番のトップは帥(そち)ですが、これは皇族の方がなるようで、普段は大弐が実務を執っていました。
「官位」とは律令制度の下での「官職」と「位階」を表すもので「官位」と言いますが、ちょっとややこしいのです。
仕事の内容と、身分の両方を合わせたものといえば良いのでしょうか。
またこの官位表を眺めていると、中央(京都)での官位と、地方での官位はかなり違いがあることが分かります。
また地方でも、大和や近江、伊勢など都に近い地域と、安房や能登などの遠い地方では、位が異なりますね。
現在の日本の官僚も同じかもしれませんが、やはり本庁勤務は位が高かったのですね。
あれこれ書いてきましたが、コロナウィルス騒動のさなかにあっても、まだまだ自由に外出して、友人たちとおしゃべりできるのはラッキーなことです。
これが本当に外出禁止令が出て、誰とも口をきいてはいけないようになったら、最悪です。
そうならないよう願います。
この日は雨降りでしたので、着物は止めて、ジーンズ姿でしたので、着姿の写真はありません。
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