先週に引き続き、能楽師・安田登さんの講座2回目に参加してきました。
安田さんは、とても守備範囲の広い方で、能の話はもちろんのこと、言葉の語源について、雅楽について、現代文化について、なんでもよくご存じの方で、お話もユニークで面白い方です。 著書は47冊も書かれているそうで、すごいですね。
今回は黒紋付に袴という能楽師スタイルの下に、襟のないYシャツをお召しでした。このように重ね着をすると、ちょっと昔の書生さんのような雰囲気になりますが、着物の襟が汚れないので助かるということでした。いろいろな決まりを打破するのもお好きな方のようにお見受けしました。
今回の源氏物語は、光源氏と夕顔が親しくなり、五条あたりの町中の家で過ごす場面でした。
その最初の場面で、夕顔の和歌
「心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花」
と、これに対する光源氏の和歌
「寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔」
この2首を「越天楽今様」に合わせて、参加者みんなで歌ってみたのでした。
今回も笙の笛の伴奏付きでした。
今様と言うとあまりピンと来ませんでしたが、なんとも優雅な音楽でした。これに合わせて舞も舞うのでしょうか。
ちなみに今様は、和歌の57577のうち、757575の部分を謡うようでした。
この場面の後、源氏は夕顔のおっとりとした物腰や性格に惚れ込み、彼女と二人きりでしっとりとした時間を過ごそうとして「なにがしの院」に向います。
そこで、もののけに襲われるのですが、今回のお話はここまででした。
私は、夕顔はあまり主体性がなくて、なよなよしていて、男の言いなりのように思えて、あまり好きな人物ではありませんでした。でも読み返してみると、彼女のぼーっとして、はかなげなところが、源氏のようにいつも地位のある女性に囲まれている男性にとっては、かえって魅力的なのかもしれないと思うようになりました。
特に高貴でもなく、地位もない、そんな女性に惚れ込んでしまう光源氏、そしてそんな女性を物語の初めの方に登場させた紫式部は、ただものではありませんね。
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この日もKさんとご一緒でした。お母様が着ていらっしゃったという焦げ茶の生紬の着物は、とても暖かいそうです。ピンク色の帯もとても可憐で、私もこういう帯がほしいと思いました。
私は黒地に白い水玉模様の紬。ちょっと雪がイメージされますね。
着物の八掛が臙脂色だったので、帯も臙脂色と黒の模様のものにしました。
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「一日一句」
平安の 寒さを偲ぶ 冬深し
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