2023年11月8日水曜日

京都「風俗博物館」

「風俗」という単語には、あまり良いイメージがありませんが、京都の西本願寺近くにある風俗博物館は、とても優雅で清らかなところです。


ここは、源氏物語の世界を再現する博物館です。

ここを訪れるのは3回目ですが、その度に、「風俗」という名前はもったいないな、と思うのです。

開館は昭和49年。

入館料はひとり800円と格安です。

ここでは世間の雑踏を忘れ、平安の雅な時代に浸れます。

竜頭鷁首の船。


明石の姫君の成人のお祝いの準備。


右奥の女性が紫式部のようです。


左端の男性が藤原道長のようです。


それぞれの衣装もとても丁寧に作られていました。

こちらは女房たちの日常生活の一コマ。


重陽の節句の「菊の着せ綿」
菊の花の上に真綿を被せ、翌朝、その綿で体を拭うと菊の薬効により無病で過ごせるという習慣があります。


冊子づくり。これも女房たちの仕事でした。


「偏つぎ」という遊び。漢字の偏とつくりを合わせて完成させます。漢字の知識の競い合いですね。

私たちの「源氏物語を楽しむ会」ではちょうど六条院に暮らす女性たちの話の巻(「初音」)をしているところなので、当時の様子が少しは目に見えてきました。

また平安時代の服飾についても、展示されています。形だけでなく、色の組み合わせの素晴らしさも紹介されています。


こちらは打出(うちいで)と言われ、御簾の下から装束の袖だけをちら見せして、華やかさを演出するものです。

継紙。


継紙とは、異なる色や質の紙を継いだ料紙のことで、平安時代に成立後されたものです。金銀の箔や砂子を散らしたり、さまざまな趣向がこらされています。

博物館の展示品は、すべて四分の一の縮尺で作られているそうです。

平安時代の貴族は、全人口のほんの一握りだったと思います。ですからこの姿を見ただけでは当時のことを理解したとは言えませんが、参考にはなります。

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「一日一句」

千年の 時空を超えた みやびかな

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